■いじめの社会理論
*内藤朝雄(著)『いじめの社会理論:その生態学的秩序の生成と解体』柏書房・2001年
前に同じ著者が参加した『学校が自由になる日』(宮台真司・藤井誠二・内藤朝雄著、雲母書房・2002年)を取り上げたことがありますが(こちらを参照)、本書はいわばその理論編。
平野にとって、本書で提示されている理論モデルは正直言ってちんぷんかんぷんなのですが、著者が定義する「中間集団全体主義」の問題点はすんなり納得できます。「(学校)共同体主義」に陥らず、多種多様な「きずなユニット」の存在を保証すべきであるという基本的主張にも大賛成です。地域コミュニティだけにこだわることなく、趣味や関心や利害を基盤とし、さまざまな場・媒体を通じて成立する重層的コミュニティを構想しなければならないとは前から考えていましたが、いっそ「きずなユニット」という言葉のほうがぴったりくるかもしれません。教育制度の中長期的改革案(第9章)も、細かい点はともかく、方向性は間違っていないと考えます。べたべたした関係の押しつけにへきえきしている人はご一読を。
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