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2004.02.26

■CRC報告会

国連・子どもの権利委員会による日本の第2回報告書審査について講演・報告してほしいという話がぼちぼち来ています。詳しくはメインサイトの「講演情報」でお知らせしていますが、いま決まっているものについてはとりあえずここでも告知を。

第1弾は3月4日(木)で、子どもの権利条約ネットワークによる子どもの権利条約入門セミナー2003の最終回。NGOレポート作成のもうひとりの責任者である荒牧重人さんといっしょに報告します。ファシリテーター養成講座の第1回も兼ねていますので、ワークショップ等のファシリテーターになってみたいなあと思うかたもどうぞ。ただし2人ともワークショップが苦手なので(笑)、この回は講義形式です。

また、3月6日(土)から8日(月)にかけて、国連・子どもの権利委員会で日本の報告書の担当者(国別報告者)を務めた李亮喜委員(韓国)が来日されます。子どもの権利条約総合研究所・子どもの人権研究会共催「子どもの権利フォーラム2004」(早稲田大学)における学術交流がメインですが、8日(月)夜には市民・NGO関係者を対象とした集会にも参加してくださいます。8日のチラシもそのうちウェブに載せますが、時間・場所など最小限の情報は「講演情報」を参照してください。平野も僭越ながら前座を務めます。

3月25日(木)には関西に行くことになりました。午後は大阪市浪速区の大阪人権センターで、夜は兵庫県川西市で報告する予定。4月には沖縄にも行くことになりそうです。詳細はまたお知らせします。

フリーですのでさすがに交通費のみというわけにはいきませんが、地方での小集会なら子どもの人権連の講師派遣制度を利用できる場合もありますので、ご関心のあるかたは平野までお問合せください。

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2004.02.23

■中学生が考える世界の子どもの権利

中学生が制作した「Kids Project」というウェブサイトを見つけました。なかなか凝った作りで、いま世界で主に議論されているテーマをきちんと押さえています。

製作者として「Kaminaka J.H.S. Team Kids Project」と表記されていたので適当に検索してみたところ、文部科学省の「学力フロンティア」研究指定校になっている上中中学校(福井県)だということがわかりました。国際交流にもずいぶん熱心ですね。

Kids Project」の掲示板ではいくつかのテーマについてかなり真面目な議論が交わされている模様。ご関心のあるかたはのぞいてみてはどうでしょう。

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2004.02.22

■CRINMAIL550号

2月19日付CRINMAIL550号より。

子ども兵士:ブルンジ国軍とスリランカ反政府勢力が子ども兵士の動員解除へ〔ニュース〕 ソース:UNWire 記事全文
コロンビア:武力紛争・麻薬売買・小火器拡散で搾取される若者たち〔報告書〕 詳細はWatchlist on Children and Armed Conflictのウェブサイト参照。
性的搾取:人気のある観光地での子どもセックス・ツーリズム調査〔報告書〕 スリランカ、インド南部、インド北部、ネパールでの調査結果。ECPAT Internationalのウェブサイトから報告書のダウンロードが可能。
ウガンダ:グルの子どもたちが平和のために行進〔ニュース〕 ソース:The Monitor (Kampala)/ Canadian Peacebuilding Coordinating Committee
セクシュアル&リプロダクティブ・ヘルス:セクシュアル&リプロダクティブ・ヘルス/ライツ・アプローチの実施〔イベント〕 詳細はInternational Planned Parenthood Federationのウェブサイト参照。

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2004.02.21

■CRINMAIL549号

2月17日付CRINMAIL549号より。ときどきこんなふうに紹介が遅れちゃうこともあるので、英語(または仏語・西語)が読めて早く情報をほしいというかたはこちらから購読を申し込んでください。

ハイチ:すべての紛争当事者が子どもの権利を守らなければならない〔ニュース〕
ソース:ユニセフ
ソマリア:北部トグディア地方、飢饉のため窮地に〔ニュース〕 ソース:IRIN 記事全文
雇用:メキシコで2004年に「青年雇用地球サミット」〔イベント〕 詳細はYES Mexico 2004のウェブサイト参照。
貧困:フランスにおける子どもの貧困〔報告書〕 詳細はCERC(雇用・所得・社会的結合評議会)のウェブサイト参照。
カザフスタン:ソロス財団、少年司法ジャーナリズム・コンテストを開催〔コンテスト〕 ソース:Young People's Media Network/IJNet

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■教職員「心の健康診断」

2月16日付毎日教育メールに「全教職員を対象に『心の健康診断』実施へ 島根」という記事が出ていました。

教員の不祥事防止策の一環ということですが、ほんとに的外れですね。そもそも業者が作成するメンタルチェックテストで何がどこまでわかるかという問題もありますし、任意ではなく全教職員対象というのも個人を尊重していませんし、だいたい開かれた対話・相談を進めようというのではなくテストで判断しようというのは教育者の発想ではないのではないでしょうか。まあ、それこそがまさに「教育者」らしい発想だとも言えるのですが。

そんなテストをやって何がしたいのかもよくわかりません。県教委のほうでは、個人が特定されない形で報告されたデータを分析して「不祥事の再発防止に役立てる方針」だそうですが、メンタルチェックテストではストレスの背景・原因まではわからないでしょう。けっきょく、すべての問題を「個人」に押しつけて事足れりとし、教員管理を強化してますますストレス状況を強くするだけではないですか。以前にもどこかの教育委員会が、わいせつ事件の防止のために全教職員に誓約書を出させようとしたという話がありましたが、個人の心構えだけで何とかなるという発想はそろそろやめてほしいものです。

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2004.02.19

■子どもの「居場所」ふたたび

「居場所の重要性に関する認識が高まるとともに『居場所』概念が変質する可能性は小さくありません」とで書きましたが、すいません、変質はとっくに始まっていました。文部科学省の報道発表「子どもの居場所づくり新プラン 地域子ども教室推進事業」を見れば一目瞭然。そこにはこう書かれています。

「文部科学省では、全国の学校で放課後や休日に、地域の大人の協力を得て、『子どもの居場所』をつくり、スポーツや文化活動など多彩な活動が展開されるよう、家庭、地域、学校が一体となって取組む『子どもの居場所づくり新プラン』を実施します」

もともと学校に居場所がないから「居場所」づくりが必要とされてきた面も大きいのに、学校のあり方そのものは改めようともせずに学校に「子どもの居場所」をつくろうという発想自体、「居場所」という考え方を換骨奪胎しようとする意図が明らかです。また、ここでつくられようとしている「子どもの居場所」では何らかの「活動」をしなければならず、ただ「居る」ことは許されません。報道発表でも「安全で安心して活動できる子どもたちの居場所(活動拠点)」と定義されており、だったら「居場所」を騙らずに素直に「活動拠点」と言えばいいのです。

そもそも同プランが構想された背景として挙げられているのは「家庭の教育力の低下、地域の教育力の低下、青少年の異年齢・異世代間交流の減少、青少年の問題行動の深刻化」であって、子どもの権利侵害やストレス状況ではありません(「子どもの居場所づくり新プラン(概要)」PDFファイル)。あくまでも学校教育の失敗は認めず、ぜんぶ人のせいにしようとするのですね。で、同プランの構成事業として挙げられているのは以下のとおり。

*家庭(「教育の原点・心の居場所」):「新家庭教育手帳」の作成・配布、家庭教育支援総合推進事業
*地域(「安全・安心な憩いの場、活動の場」):地域子ども教室推進事業(PDFファイル)、子どもの奉仕体験活動等の推進
*問題行動・不登校への対応

げんなりしてきますね。これでは「居場所づくり」などではなく単なる「包囲網」の強化です。これに対し、「い」さんがコメントで紹介してくださった神奈川子ども未来ファンドでは何が目指されているでしょうか。「神奈川子ども未来ファンド概要」では、運営費助成の対象として次のようなNPOが例示されています。

・乳幼児親子の「ひろば」
・ありのままの自分を大切にできる「居場所」
・ひとりひとりの状況に応じたカリキュラムを提供するフリースクール
・「非行」の若者が生き方を探す場
・家庭に居場所がない子どもたちのための緊急避難の場

フリースぺースたまりば」は川崎市(生涯学習振興事業団)の委託を受けて「フリースペースえん」を運営しています。文部科学省も、市民が苦労して発展・定着させてきた「居場所」という考え方の名前だけかすめとるような真似をせず、すなおに市民の自主的活動を支援してはどうなのでしょうか。

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2004.02.17

■「居場所」フォーラム報告書

記事の内容は「最近読んだ本」のほうに移しました。お手数ですがこちらを参照してください。

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■「居場所」フォーラム報告書

(特活)青少年育成支援フォーラムより、『居場所交流全国フォーラム2003事業報告書』を送ってもらいました。昨年9月に神奈川県で開催され、全国から26の「居場所」関係団体が参加した「居場所交流全国フォーラム2003」の報告書。さまざまな論点について、フォーラムでの議論が簡潔にまとめられています。

同報告書も指摘するとおり(22頁)、居場所の重要性に関する認識が高まるとともに「居場所」概念が変質する可能性は小さくありません。現に東京都では、ここでも何回か取り上げたように、トイレ掃除のボランティアまで「居場所」に位置づける議論が登場しています。まさに「どんなまなざしをもった大人がいるか」(23頁)ということが問われているわけですが、そのことをきちんと押さえておかないと、子どもがふらふらして悪さをしないよう閉じこめておく場所が「居場所」と僭称されるようになっていくでしょう。

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2004.02.16

■CRC日本審査関連資料

日本の報告書審査:子どもの権利委員会」(インデックスページ)の第2回報告書審査の項に、事前質問事項に対する政府の文書回答(英文・PDFファイル)、第942回会合の議事要録(サマリーレコード、英文のみ)などへのリンクを追加。総括所見日本語訳からもリンクを張ってあります。第943回会合の議事要録はフランス語で作成されるはずなので、OHCHR(国連人権高等弁務官事務所)のウェブに掲載されるまでにけっこう時間がかかるでしょう。

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■神奈川大学法学研究所研究年報

*シンポジウム「子どもの福祉と家族・地域・自治体――育つ環境、傷つく環境」
神奈川大学法学研究所研究年報21(2003年)

2002年3月に出席したシンポジウムの記録です。パネリストは他に大関ミヨ子さん(神奈川県立こども医療センター精神科婦長)と合田加奈子さん(横浜市福祉局児童福祉部長)、司会は阿部浩己さん(神奈川大学教授)でした。平野は、暴力からの子どもの保護に焦点を当てつつ、子どもの権利条約の理念・内容についてわりと一般的な話をしています。

いま「研究年報」の電子化・公開の準備も進められているそうで、そのうちネット上でも読めるようになるかもしれません。結構なことです。せめて大学の紀要・年報などはすべて電子化し、研究機関に所属している者以外でも広く利用できるようにしてもらいたいと思う今日このごろ。

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2004.02.15

■「心のノート」特集

記事の内容は「最近読んだ本」のほうに移しました。お手数ですがこちらを参照してください。

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■「少子化対策」の下品さ

高知県の事例を紹介したあとで東京都の話をすると気が滅入ってきますが、昨年末、「少子化社会における東京の子育て支援:『子育てに希望と連帯の持てるまち・東京』の実現を」という提言が行なわれています。東京都児童環境づくり推進協議会(会長/無藤隆・お茶の水女子大学教授)がまとめたもの。

子育て支援に関する「9つの提言」と「7つの視点」が打ち出されていますが、別にその内容が悪いと言っているわけではありません。要は基本的な視点の問題であり、その視点が特定の施策だけではなく関連の施策全体で貫徹されているかどうかということです。具体的には子どもの権利保障を第一義的に考えているか、その視点に照らして他の施策も検証していくつもりがあるかということなのですが、東京都の他の動向を見るとそんなことは期待できない。そういう姿勢で進められる少子化対策は、かえって親子を息苦しい立場に追いやっていくのではないかという懸念があります。

少なくとも提言の概要を見るかぎり、そこには「子どもの権利保障」という視点がほとんどない。そもそも「子どもの権利」に一言も言及されていないのです。提言6では「青少年の『居場所』・『活躍の場』づくり」が提唱されていますが、どうせトイレ掃除のボランティアとか、おとなががっちり枠組みを定め、そこからはみ出すことはけっして許さない「居場所」や「活躍の場」が念頭に置かれているのでしょう(更新日記「都条例改定の動きも憂う」も参照)。

提言が少子化対策以上のものではないことをわざわざ標題で明確にしているのも、いまどき珍しいですね。いつも思うんですが、「少子化対策」という言葉には子どもや親(とくに母親)を国家の部品としてとらえる下品さがつきまといます。子どもや親に対する支援は、少子化だろうが多産化だろうが必要なもの。子どもが増えたらいいなあと思う気持ちは否定しませんが、せめてそのことを露骨に表に出さないだけの品性とか矜持は持ち得ないものなのでしょうか。まあ石原都政に品性や矜持を期待すること自体、ないものねだりというものかもしれませんが。

その下品さを国レベルで臆面もなく明らかにしてしまったのが少子化対策基本法。その大仰な前文には、市民よりも国家が大事なのだという発想がぷんぷんしています。だいたい、「子どもに関わるあらゆる子どもの最善の利益の原則(子どもの権利条約第3条1項「子どもにかかわるすべての活動において、……子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」)は関連の法律で明文化しようともしないくせに、「社会、経済、教育、文化その他あらゆる分野における施策は、少子化の状況に配慮して、講ぜられなければならない」(第2条4項)と規定してしまうんですからね。子どもに対して責任を負っているおとなとしては、やっぱり恥ずかしいんじゃないでしょうか。

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■「心のノート」特集

斎藤次郎さんが編集長で平野もときどき寄稿する『子どもプラス』16号(2004年2月刊)が、「『心のノート』なんていらない!」というなかなか読み応えのある特集を組んでいます。

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2004.02.14

■高知県こども条例

2月13日付毎日教育メールに「『こども条例』推進委に15歳~17歳の委員起用へ 高知県」という記事が載っていました。

高知県でもいよいよ「こども条例」ができることになりそうです。すでに条例案も公表されています。2月24日開会予定の県議会で可決されれば4月から施行とのことで、都道府県としては初めての子どもの権利条例になります。

具体的なとりくみは「県こどもの環境づくり推進計画」にもとづいて進められ、その策定等に携わる水死印委員会に15歳以上の子どもも指名されることになる模様。全国に先駆けて子どもの権利条例を策定した川崎市(神奈川県)でも、「川崎市子ども会議」などのとりくみは進められていますが、「川崎市子どもの権利委員会」には子どもの委員は含まれていません。委員に選ばれた子どものバックアップ体制、それ以外の子どもの意見を反映させるためのしくみなどいろいろ課題はありますが、国連・子どもの権利委員会の勧告(パラ28)を実施していくひとつのやり方として評価できるでしょう。

それにしても、自治体でもいろいろと動きが起こっているので、メインサイト「子どもの権利と自治体」もそろそろ更新しないと……。

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■障害児の統合教育

国連・子どもの権利委員会からは障害児の統合教育をいっそう進めるよう勧告されましたが(パラ44)、2月6日付毎日教育メールによると、子どもたちの多くは障害児の統合教育は可能だと考えているようです。埼玉県教委が小中高生3000人を対象に行なった意識調査で明らかになったもの。

その調査によると、障害のある子どもも「クラスのみんなで協力すれば一緒に授業を受けられると思う」という回答がもっとも多く、小学生は47.9%、中高生は45.4%にのぼりました。多いと見るか少ないと見るか微妙な数字ですが、統合教育が制度的に保障されていない現状ではなかなか意識が高いと言えるのではないでしょうか。他方、その次に多かった回答を見ると小学生と中高生で反応が分かれています。小学生は「みんなのためになると思う」(33.9%)という意見が多いのですが、中高生は「少し不安もある」(37.8%)という回答が次点となりました。やはり受験がからんでくると不安が出てくるということかもしれません。

一方、2月9日付毎日教育メールには「学習障害児童の指導で指針公表 文科省」というニュースが載っています。「文部科学省は、学習障害(LD)や注意欠陥・多動性障害(ADHD)、高機能自閉症の小中学生を通常学級で指導するのに必要な支援体制について初のガイドラインを公表した」とのこと。ガイドライン(試案)は文部科学省のウェブサイトで公表されています。

しかし、すでにさまざまな圧力に抗して普通学級に通っている障害児の支援についてはいまだ手つかずの様子。今回のガイドラインの背景にある「特別支援教育」という考え方も、あくまでも原則分離を前提としたうえでの対応です。「考えてみれば何も『特別な』支援はいりません。障害児であろうとなかろうとその子に必要な支援があればそれでよいのです。『分離』を前提としているから、『特別な』支援になるのです」という片桐健司氏(障害児を普通学校へ・全国連絡会事務局長)の言葉はまさに的を射たものと言えるのではないでしょうか(片桐健司「『今後の特別支援教育の在り方について』の最終報告に反対する」)。

国連・子どもの権利委員会の勧告にのっとり、いま普通学級に通っている、そしてこれから普通学級に通いたいと思っている障害児たちに対し、統合を前提としたうえでの支援体制の整備を早急に進めてもらいたいものです。

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2004.02.13

■子ども兵士の現状

CRINMAIL548号に子ども兵士に関するガイド出版のお知らせが掲載されていますが、アジアでもビルマ、カンボジア、スリランカ等で子ども兵士の徴用が続いているという報告があります。以下、「AMNESTYキャンペーン・アップデート」(2004年2月11日付Vol.06通巻117号) からの抜粋。

(以下抜粋)
子ども兵士の使用は依然として禁止されていない
アムネスティ発表国際ニュース
AI INDEX: ACT 76/002/2004
2004年1月20日
子ども兵士の使用は依然として禁止されていない<仮訳>
Coalition to Stop the Use of Child Soldiers(ストップ子ども兵士連合)

(米国NY/2004年1月19日)国連安全保障理事会での第4回子どもと武力紛争に関する公開討論が行なわれる前日に発表された報告書によると、2003年を通して、子どもたちは新たに勃発した戦争や長年続いている戦争において、兵士や性奴隷、労働者、運搬役、スパイとして搾取され続けているという。

Coalition to Stop the Use of Child Soldiers(ストップ子ども兵士連合)が発表した報告書には、世界中の各地域で続いている紛争の多くで、政府や武装集団が子どもを徴兵し利用している証拠が詳細に記されている。同連合は国連安保理に対し、子どもの徴兵禁止を訴え、実現させるよう要請する。 ……

「Child Soldier Use 2003(子ども兵士の使用2003)」と題する50ページあまりの報告書は、1月20日に予定されている子どもと武力紛争に関する公開討論に際し、安保理が確固たる解決策を策定する一
助となることを意図したものである。この中で、武力紛争や紛争後に、子ども兵士が重大な人権問題となっているアフリカ、アジア、南アメリカ、中東の18カ国を挙げている。……

ビルマ(ミャンマー)では、政府軍が約7万人の子ども兵士を使っているとされ、子ども兵士根絶に向けた進展はほとんど見られない。軍から逃げ出した子どもたちは、政府軍に誘拐されて軍事キャンプに連れてこられた、殴られたり強制労働をさせられた、戦闘にもかりだされたと話した。カンボジアの最新報告では、近年、武装集団が徴兵している子どもは1万1千人に上っている可能性があるといい、中には12歳の子どもが訓練を受け、爆発物や武器を持たされ戦場に送られているという話もある。スリランカでは、武装対立集団タミル・イーラムの虎(LTTE)が子どもを除隊させると誓約したにもかかわらず、強制徴兵が続いている。……
(抜粋終わり)

報告書の英文はこちらから入手可能(PDFファイル)。アムネスティの子ども兵士に関するページ(英文)も参照。

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■CRINMAIL548号

2月12日付CRINMAIL548号より。

レソト:HIV/AIDS対応強化のための新法制定〔ニュース〕 ソース:IRIN 記事全文
パラグアイ:子どもの売買・子ども買春・子どもポルノに関する特別報告者がパラグアイを訪問予定〔ニュース〕 ソース:UNHCHR 詳細は同報告者のウェブサイト参照。
武力紛争:武力紛争への子どもの関与に関する選択議定書ガイド〔報告書〕 ユニセフと「ストップ子ども兵士の使用連合」が武力紛争への子どもの関与に関する子どもの権利条約の選択議定書のガイドを作成。ダウンロードはこちらから。
児童労働:教育を通じて児童労働を削減するためのコミュニティを基盤とした革新的手法〔提案募集〕 詳細はCIRCLEのウェブサイト参照。
若者と開発:オンライン・ディスカッション・フォーラム〔ウェブサイト〕 詳細はこちら
ストリート・チルドレン:ストリート・チルドレンの権利保障に関する北米・中東地域市民社会フォーラム〔イベント〕 詳細はこちらを参照。

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2004.02.12

■各国の青少年対策

今国会で「青少年健全育成基本法」などについて議論される可能性は強いと思いますが、どうも国際的動向に逆行しているのではないかという感が否めません。

たとえばスウェーデン。同国における子どもの権利条約の実施戦略については「子どもの権利条約実施のための総合戦略を起草:日本こそ求められるスウェーデンのとりくみ」という原稿(1999年)で簡単に紹介していますが、これとは別に1999年に「青少年政策」というのが制定されています。政策そのものの英語版は見つかりませんでしたが、スウェーデン教育科学省のウェブサイトにフォローアップ報告書(2001年版2002年版、いずれもPDFファイル)が出ていました。

スウェーデン「青少年政策」のポイントは、公明党デイリーニュース「総合的な青少年政策の策定を――担当大臣を新設して実効挙げよ」(2003年6月7日付)が簡潔にまとめ、「いずれも、若者を大切にし、若者から学ぼうとする成熟した社会の風格を感じさせる」と評価しています。おまけに、同政策の実施を担当するリーナ・ハレングレン青少年問題担当大臣は当時29歳という若さ。プロフィール(PDFファイル)を見てみると確かに1973年生まれなのです。

で、この記事を発見した知り合いから、「スウェーデンの青少年対策は『青少年(およびその環境)の管理・規制』より『子どもの権利の尊重』に重きがおかれているのではないか」という質問が来たのですが、そのとおりだと思います。スウェーデンに限らず、アイルランドやニュージーランドなどでは子どもの権利、とくにその意見表明・参加の保障を基軸とした政策がとられるようになってきました(メインサイト「子どもの権利に関する総合的政策に関する資料」参照)。どちらかというと保守的なイギリスでさえ、子ども・若者参加を省庁横断的に進めようとしています(更新日記「子どもの権利条約inイギリス」参照)。

他方で日本の「青少年育成施策大綱」は、いちおう冒頭で子どもの権利条約にも触れているものの、いかに「規範意識」を身につけさせるかというところに力点が置かれており、青少年の権利保障や意見表明・参加の促進という視点は希薄です。なにしろ「公共への参画の促進」が具体的施策として出てくるのは青年期(18歳以上)になってからの話ですからねえ(PDFファイル21頁)。青少年健全育成基本法案骨子(案)も、申しわけ程度に「国は、青少年の健全な育成に関する施策の策定及び実施に資するため、青少年、保護者その他の国民の意見を国の施策に反映させるため必要な施策を講ずるよう努めるものとすること」と書いていますが、そもそも基本的な発想が国際水準からかけ離れているのでどうしようもありません。

国連・子どもの権利委員会からも、「青少年育成施策大綱において権利基盤型アプローチがとられ、条約のすべての領域が対象とされ、かつ2002年国連子ども特別総会の成果文書『子どもにふさわしい世界』のコミットメントが考慮されることを確保するため、市民社会および若者団体と連携しながら同大綱を強化すること」(パラ13(a))と、実質的に大綱の全面的見直しを勧告されています。青少年施策のあり方を根本的に見直すよう、公明党などにもがんばってほしいものです。

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2004.02.11

■芸能界の子どもの権利

昨日(10日)は「杉並に子どもの人権を守るしくみをつくる会」の連続学習会で話をしたのですが(メインサイトの「講演情報」参照)、演題とは別に、参加者から演劇・芸能界等で働いている子どもの権利について質問がありました。

労働基準法第56条では中学校卒業相当年齢以上の子ども(15歳に達した年度の3月31日を経過した子ども)でなければ使用してはならないことになっていますが、映画製作・演劇等の事業については例外で、行政官庁(具体的には労働基準監督署)の許可を得れば使用できることになっています。これはILO(国際労働機関)の「就業の最低年齢に関するILO第138号条約」などでも認められている例外規定です。神奈川労働局ウェブサイト「高校生などを使用する事業主の皆さんへ」で現行法制の内容がわかりやすくまとめられています。

そこには子どもの権利との関連で考えなければならない問題がたくさん含まれているわけですが、最近話題になっているのは15歳未満の子どもの就業時間の問題。いまのところ演劇等に関しては午後8時~午前5時が深夜労働扱いとなっており、子どもの使用は禁じられています。これに対し、(社)日本演劇興行協会などは少なくとも午後10時までの延長を求めてきました(2003年4月「演劇文化振興のため、子役の就労時間の延長を」)。

他方、1988年に出された通称「光GENJI通達」または「芸能タレント通達」によって、一定の条件を満たせば午後8時以降の活動も認められています。実際にはテレビ出演等は午後9時までという自主規制が一般化しており、それにあわせてか、子役の就業時間も全国一律午後9時までにするという方針が政府内では固まったようです(週刊朝日2003年9月19日号「『モー娘。だけが特別か』 子役の労働時間問題」)。

しかし問題は就業時間だけではありません。子役や芸能タレントがその才能や活動に対して正当な報酬を得られず、固定給料制でかなり搾取されているのではないかという指摘は以前からあります。また、業界でも非常に有名なある芸能プロダクションについては男性アイドルに対する性的虐待の疑惑が公然と報道されているほか、男女を問わず、表に出てこない性的虐待やセクシュアル・ハラスメントが相当横行している可能性もあるでしょう。

それ以上に、芸能タレントや子役のまわりのおとなたちがその子の成長発達や将来をどの程度考えているのかという重要な問題があります。あと1号で休刊してしまう『噂の真相』がかつて「大五郎こと西川和孝殺人事件に見るゲンダイの子役シンドロームの"危険な罠"」(西田健、2000年4月号)という記事を掲載していましたが、人間として成長する環境を保障されずに自分を見失ってしまう子役がはたしてどのぐらいいることか。本当は親のほうが子どもの将来をしっかり考えて子どもや業界のおとなたちにブレーキをかけないといけないのですが、むしろ親のほうが舞い上がっていることが多いので始末に負えません。

就業時間についてはもう少しフレキシブルに考えてもいいとは思いますが、労働基準監督官だけではなくソーシャルワーカーも導入し、子どもの最善の利益にかなう形での監督を飛躍的に強化する必要があると考えています。厚生労働大臣も、業界の声ばかりに耳を傾けるのではなく、かつて子役・未成年タレントだった人々、現に子役・タレントとして働いている子どもたちの実態調査ぐらいやってはどうですか。

なお、国連・子どもの権利委員会がこうした問題を取り上げることはまずありませんが、フランスに対して1回だけ、「ファッション産業における活動への子どものアクセスを、これがケースバイケースのアプローチにもとづいてかつ子どもの最善の利益に照らして行なわれることを確保するために見直す」よう奨励したことがあります(総括所見パラ27、CRC/C/15/Add.20)。

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■CRINMAIL547号

2月10日付CRINMAIL547号より。

アフガニスタン:元子ども兵士2000人の動員解除とリハビリテーション〔ニュース〕 ソース:ユニセフ
マラリア:アモス男爵夫人、マラリア予防の慈善団体を立上げ〔ニュース〕 詳細はMalaria Consortiumのウェブサイト参照。
武力紛争:強制移住と政治危機に影響を受ける若者たち〔会議〕 詳細はCumberland Lodgeのウェブサイトまたはこちらを参照。
性的搾取:インド・ゴアにおける性的虐待とセックス・ツーリズムについての新しい報告書〔報告書〕 詳細はこちら参照。
CRCのためのNGOグループ:地域コーディネーター募集〔求人〕 詳細はこちらを参照(仕事の内容はこちらのワードファイル参照)。
世界のストリート・チルドレン欧州ネットワーク:理事長募集〔求人〕 詳細はEuropean Network on Street Children Worldwideのウェブサイト参照。

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2004.02.08

■CRC勧告:新聞報道

子どもの権利委員会の総括所見の日本語訳をメインサイトに掲載してから1週間以上経ちました。総括所見のページにはアクセス解析を設定してありますが、それによると、本日午後7時現在でのべ1200人ほどが総括所見を見てくれたようです。とりあえず委員会の勧告の広報にはある程度貢献できたのでしょう。

新聞報道はどうも低調ですが、とりあえずネット上で目についたかぎりの見出しを載せておきます。日付はネット掲載時のものです。リンクはどうせすぐに切れてしまうものが多いでしょうから張っていません。

*共同通信(1月27日)「国連委が日本の教育政策を審査」
*時事通信(1月29日)「子供の権利委員会で報告=外国人学校の大学受験資格など-日本政府」
*毎日新聞(1月29日)「子どもの権利条約:日本の順守状況を審査」
*朝日新聞(1月30日)「女子の結婚最低年齢引き上げを勧告 国連委員会が日本に」
*時事通信(1月31日)「性交渉禁止年齢の引き上げ勧告=国連子供の権利委が日本に」
*読売新聞(1月31日)「日本の過剰な競争教育に懸念…国連子どもの権利委」

そのほか東京新聞のサイトにも記事が載ったようですが、未確認。全体としては読売新聞の記事が一番総合的ですね。第1回審査のときもそうでした。やはり読売の外報部というのは一味違うようです。

その他、審査の傍聴に参加した関係団体のサイトでもいくつか報告が出ています。これも目についたかぎりで。池座さんのサイトでは平野の姿もかいまみることができます(笑)。

*狛江市議池座俊子さんのプロフィールボード「国連・子どもの権利委員会第2回日本審査 傍聴記その1~3」
*日本教職員組合「国連子どもの権利委員会による第2回日本政府報告書審査について

また、総聯映画製作所が開設しているサイト「エルファネット」の「スイス ジュネーブ発 特報!!」コーナーでは、在日朝鮮人人権協会の傍聴の様子や今回の審査の模様が動画で見られるようです。「ようです」というのは、平野の接続環境では何度やっても途中でとまってしまうためにぜんぶ見ていないから。CATV回線なのですが、ハードディスク容量などの関係でしょうか。接続環境がよいかたはご覧ください。音声は朝鮮語ですが、見出しは日本語のようです。

日本共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も、「第2回子どもの権利条約市民・NGO報告書をつくる会」の動きを中心に熱心にフォローしています。前回の勧告が「異例に厳しい」というとらえ方など平野とは基本的に見解が異なるところも少なくありませんが、ご参考までに。

*2003年9月11日「『第2回市民・NGO統一報告書」国連へ送付 「つくる会」――子どもの権利条約批准10年 子ども期を奪われた日本の子どもたち
*2004年1月13日「問われる日本の“子どもの権利” 条約批准から10年(上)――競争教育、体罰、保育、「改正」少年法…国連の第2回審査に注目
*1月14日「問われる日本の“子どもの権利” 条約批准から10年(中)――国連勧告に背を向けた『第2回政府報告』
*1月15日「問われる日本の“子どもの権利” 条約批准から10年(下)――国連の『質問リスト』に反映 国民の願いと運動
*1月31日「国連委「子どもの権利条約」実施問う 審査で日本を批判
*2月1日「国連・子どもの権利委員会 競争教育など改善遅い 日本政府を厳しく批判

それにしても、「つくる会」と日弁連だけ取り上げて「子どもの権利条約NGOレポート連絡会議」はまったく無視する(1月15日付の記事)というのは、いくら政党機関紙とはいえどうなんでしょうね(苦笑)。「つくる会」の関係者が別のところで書いた報告でも、いちおう3団体の存在には触れているんですが、同会と日弁連は正式名称を出しているのに連絡会議は「子どもの人権連を母体とするNGOグループ」ですからね(再苦笑)。自ら積極的に情報を求めようとしない人は情報が制約されてお気の毒だと思います。まあインターネットで検索すればすぐに平野のサイトは出てくるわけですから、自業自得と言えば自業自得ですが。

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■子どもの権利条約Q&A

日本における子どもの権利条約の実施状況について、国内外の学生からときどき質問が寄せられます。似たような関心事をお持ちの人もいるかもしれませんので、そういうやりとりも随時ここで公開していくようにしましょう。メインサイトの「子どもの権利条約に関するFAQ」も見てください。

今回の質問は、日本の大学生がスウェーデンの大学生から質問されたものの、返答に悩んでいるということで平野に相談してきたもの。ちゃんといろいろ調べたうえでの質問は好感が持てます。日本における条約実施について2つの質問があるとのことで、次のように回答しておきました。間違っているところ、付け加えることがあったらコメントをつけてください。なお、内容は多少修正してあります。

(以下、回答)
1.CRC(子どもの権利条約)の違反があった場合に、legal action を起こしている機関・団体はあるか。そういう機関・団体があるとしたら、それはメディアでどのぐらい広く報道されているか。

legal action のとらえ方によって回答が変わってきます。

まず、日本では刑事裁判については検察官が、民事裁判については当事者またはその代理人が訴訟を提起することになっていますので、アメリカのようなクラスアクション、アメリカ・ドイツのような違憲審査訴訟、インドのような公益訴訟をいずれかの機関が起こすことはできません。人権オンブズマンないし人権委員会はいまのところ日本には存在しませんが、将来的に存在するようになったとしてもその権限は「訴訟援助」に留まり、スウェーデンのオンブズマンのような提訴権は認められないと思われます。

ただし、条約違反が同時に刑法違反であれば(すなわち特定の子どもに対して犯罪が行なわれた場合であれば)、だれでも告発することができます。このような意味での legal action は可能ですし、たとえばインターネット上の児童ポルノの通報のような活動を行なっている団体は存在します。ただ、どの程度活発に通報を行なっているかどうかは承知していませんし、それがメディアで広く報道されることもほとんどありません。

また、児童虐待のケースで親のリハビリテーションが不可能であると判断されれば、児童相談所等が家庭裁判所に対して施設措置や親権喪失の申立てを行なうことができます。

興味深いケースとして、児童養護施設のように公的資金が拠出されている施設で人権侵害が発生した場合、公金の使い方が不適切という趣旨で住民監査請求・住民訴訟などを起こすことが可能です。千葉県の児童養護施設「恩寵園」で起こった虐待事件で実際にそのような訴訟が提起され、子どもたちの救済につながるということがありました。

その他、日本弁護士連合会および都道府県弁護士会に対する「人権救済申立て」も、厳密には legal action とは言えませんが、誰でも行なうことが可能です。

2.日本ではCRCは重要な問題としてとらえられているか。

政府レベルでは、端的に言ってNOです。そのことは、政府のさまざまな施策の検討過程で子どもの権利条約および国連・子どもの権利委員会の勧告がまったく、またはほとんど参照されないことに表れています。たとえば、「教育改革国民会議」では条約は配布さえされませんでしたし、中央教育審議会の教育基本法改正の審議でも同様だったはずです。次世代育成支援対策推進法の「行動計画指針」や青少年育成施策大綱ではいちおう条約に触れられていますが、単に名前を載せているだけです。

他方、ご承知のとおりいくつかの自治体は条約を真剣にとらえています。また、条約に対するNGOの関心もたいへん高いものです。
(以上)

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2004.02.07

■婚外子差別の本

記事の内容は「最近読んだ本」のほうに移しました。お手数ですがこちらこちらを参照してください。

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■婚外子差別の本

国連・子どもの権利委員会からふたたび解消を求められた婚外子差別(総括所見パラ25)。3月2日には東京地裁で戸籍続柄裁判の判決が出ます。で、最近出た本をご寄贈いただきました。

*なくそう戸籍と婚外子差別・交流会(編)『なくそう婚外子・女性への差別:「家」「嫁」「性別役割」をこえて』明石書店・2004年

今回の所見は間に合いませんでしたが、国連・子どもの権利委員会はじめ人権条約機関への働きかけの経緯なども収録されています(第4章)。ご関心のあるかたはご一読を。

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2004.02.06

■CRINMAIL546号

2月5日付CRINMAIL546号より。

ウガンダ:国際刑事裁判所の最初の訴追対象はウガンダ「神の抵抗軍」か〔ニュース〕 出典:UNWire 記事全文
武力紛争:子ども兵士への援助なく、リベリアの安全保障に危機〔報告書〕 詳細はヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利部またはこちらを。
児童労働:児童労働根絶の経済的利益は損失を大きく上回る〔報告書〕 ILO(国際労働機関)がまとめた研究報告 "Investing in Every Child, An Economic Study of the Costs and Benefits of Eliminating Child Labour" で明らかにされた結果。詳細はILO駐日事務所「新聞発表」のページ参照。
ルワンダ:ストリート・チルドレン対策におおわらわのルワンダ〔ニュース〕 出典:BBC 記事全文
体罰:カナダ最高裁、親の体罰を認めた法律を支持〔ニュース〕 カナダ最高裁は2月2日、親による「合理的」体罰を認めた法律を支持する決定を6対3で言い渡した。ただし、2歳未満の子どもまたはティーンエイジャーに対する体罰の使用は認められないという新たな指針も示した。…… 出典:トロント・スター(一部修正)
*ケニア:SOSチルドレンズ・ビレッジ東アフリカ、ケニアにチャイルドラインを開設 詳細はSOSチルドレンズ・ビレッジのウェブサイト参照。

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■世界の社会福祉

*仲村優一ほか(編)『世界の社会福祉年鑑〈2003〉 第3集』旬報社・2003年

子どもの権利条約の2つの選択議定書の日本語訳再掲を了承したので送ってきてくれました。600ページの大著で、本が分厚いとそれだけで嬉しくなる平野としてはホクホクです。しかしさすがに全部読む気にはなりませんし、その必要もありませんので、子ども関連のところを中心に拾い読みしようかと思っているところ。個人で買う人はあまりいないでしょうが、とりあえず紹介しておきます。

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2004.02.05

■CRC勧告:日本語訳修正

国連・子どもの権利委員会の日本に対する総括所見、パラ17の原文が一部欠落していたので国連の事務局に問い合わせたところ、さっそく全文を送ってきてくれました。それを受けて日本語訳を修正。とりあえず基本的な趣旨は間違っていませんでした。

ちなみに原文は以下のとおりです。

17. The Committee recommends that the State party strengthen existing mechanisms for data collection, and where necessary establish additional mechanisms for data collection, in order to ensure that data is collected on all areas under the Convention and that it is disaggregated by age for all persons under 18 years, and inter alia, gender, ethnic and indigenous minorities. It also recommends that the State party gather data on budgetary allocations for children identifying the amount and proportion of the State budget spent on children from 0-18 years in the public, private and NGO sectors in order to evaluate the impact and effect of the expenditures and also, in view of the costs, the accessibility, and the quality and effectiveness of the services for children in the different sectors.

ほかにも少し修正したいところなどありますが、それはまたおいおい。修正したら総括所見の上のほうにも注記しますし、ここでもお知らせします。

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■CRINMAIL545号

2月3日付CRINMAIL545号は国連・子どもの権利委員会第35会期特集です。

子どもの権利委員会:子どもの権利委員会第35会期終了〔ニュース〕
ソース:OHCHR 記事全文
子どもの権利委員会:第35会期総括所見〔文書〕
第35会期で採択された総括所見の英文は下記から入手可能(PDFファイル)。
インドネシアガイアナアルメニアドイツオランダ(蘭領アルーバ含む)インドパプアニューギニアスロベニア日本日本語訳)
 その他の関連文書はOHCHRのサイトの子どもの権利委員会第35会期コーナーを、NGOレポートはCRINのNGOレポートコーナーを参照。
乳幼児期:「乳幼児期における子どもの権利の実施」についての一般的討議〔イベント〕 国連・子どもの権利委員会の次回一般的討議(2004年9月17日)は「乳幼児期における子どもの権利の実施」がテーマ。第1分科会では「早期に開始する健全な実践」、第2分科会では「自分自身の発達の全面的主体としての乳幼児」について話し合われる予定。
インド:子どもの権利委員会に対するインド政府の報告書の問題点〔報告書〕
ソース:HIMAL South Asian/Youthful Media 記事全文

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■「ステイシーズ・マム」

ジュネーブのホテルでつけっぱなしにしていたMTVフランスでよく流れていたのが、グラミー賞にもノミネートされたFountains of Wayne "Stacy's Mom"のPV(プロモーションビデオ)。

プールまであってやけに豪華なガールフレンドの家に遊びに行った男の子(10~12歳くらいでしょうか)が、ガールフレンドではなく母親のほうにドキドキして気もそぞろになる様子が現実と妄想まじりで描き出されていて、ちょっと昔が思い出されます(笑)。ガールフレンドは自分が見られてると思って気分よくしているのですが、じつは男の子が見ているのはそのうしろの母親の着替えだったりして。歌詞でも「ぼくはきみじゃなくてきみのママに恋してるんだよ」と歌っています。

最後は、男の子が庭にいる母親の様子を盗み見てオナニーでもしていたのでしょう、部屋に入ってきたガールフレンドがびっくりして飛び出し、閉めたドアの前で胸に手を当てて驚きの笑顔を浮かべたあと、ドアノブに「使用中」(Ocupado)という札がぶら下がっているという締めくくり。まあ歌としてはどうということもないのですが、男の子の気持ちというのをなかなかうまく切り取ったPVだなあと思いました。

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2004.02.04

■ユニセフ世界子供白書2004

月刊子ども論』2004年3月号(クレヨンハウス)の巻頭特集は、「『ユニセフ世界子ども白書2004』が指摘 ジェンダー・センシティブ教育とは!?」。平野が白書の翻訳を担当している関係もあり、『子ども論』でも毎年白書特集を組んでいます。今年の白書のテーマは「女子教育」。日本語訳は(財)日本ユニセフ協会から3月刊行予定です。

『子ども論』では、特集全体の構成を担当するとともに、平野も「子どものエンパワーメントから遠ざかる日本の教育」という原稿を書いて日本の状況に触れておきました。就学率が男女平等でも、男女の子どものエンパワーメントにつながらなければジェンダー・センシティブな学校とは言えないという趣旨です。

ちなみに「ジェンダー・センシティブ」と「ジェンダーフリー」についてもいろいろ考えておきたいことがありますが、それはまたいずれ。とりあえず、gender free とそのまま英語にしても意図は伝わらないということだけ覚えておいてください。

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2004.02.03

■「有害」情報一考

ジュネーブから帰ってきた日、留守中に発行された漫画雑誌をコンビニで物色していると、小学生4~5年かと思われる女の子2人組が一直線に18禁のコーナーへ。

見る人が見たら顔がひきつるシーンだなあと心のなかで苦笑しつつ、こんな女の子たちがいったいどんな「有害」情報を欲しているのかと横目で見ていたら、ひとりの女の子が振り向いて「えへへ」と笑い、「やっぱやめとこ」と逃げていってしまいました(笑)。かわいいもんですな。

でも、こちらが飲み物のコーナーに移動したら案の定戻ってきて、なにやら雑誌を開いて見ていました。そのあたりの棚においてある雑誌はどう考えても小学生の女の子が見たがるようなものとは思えず(時節柄あえて誌名は伏せますが)、いったい何の雑誌なのかどうしても気になったのですが、遠くからでもこちらの視線を意識したらしく、ピョンピョン出ていってしまって確認不能。べつにとがめるつもりはぜんぜんなかったんだけど、ごめんね(笑)。

で、単なるほほえましいエピソードということで終わりにしてもいいんですが、どうしてもほほえましいとは思えない人もいるでしょうから一言。

おとなが「これは子どもに見せたくない」という意思表示をするのは結構なことだと思うんですよ。だけど、おとなの視線を意識しながらそれをかいくぐろうとするのも子どもらしさなわけです。規制だ規制だと騒ぎ立ててとげとげしい視線を注ぐのではなく、女の子がえへへと笑うような、あるいは男の子がやべえとドキドキするような、そういう逃げ道のある視線を注げないものでしょうか。問われているのは、「おとなが子どもにどういう物理的環境を整えてあげているか」ということよりも、その環境のなかで(どのような)視線が注がれているか、ということだと思うのです。

というより、規制の必要性を言い立てる人はそもそも子どもに視線を注いでいるのか? 平野もしょっちゅうコンビニに行きますが、よくよく思い返してみれば、堂々と18禁の雑誌を見ている子どもなんてほとんど見たことありません。「堂々と」と言うより、18禁の棚の前に立ってる子どもさえ、まず見たことがない。都青少年健全育成条例改定に関する意見書で、「実際問題として青少年が『不健全図書』をどのように読み、どのように受容されているのかを調査しなければ、『極めて悪い環境』ということは不可能ではないでしょうか」と書いたのは、このエピソードが脳裏にあったからだなと、いまわかりました(笑)。

言い換えれば、コンビニの棚だけ見て「極めて悪い環境」などと決めつける人は、コンビニにもろくに足を運んだことがない、すなわち子どもに視線を注ごうとしない人たちなのではないか、ということです。子どもと向き合うのではなくコンビニの棚と向き合い、同じようにコンビニの棚と向き合っている子どもの姿を想像して、勝手に心配しているのではないかということです。いやあ非人間的な図ですね。

まずはなるべくコンビニに足を運び、『週刊文春』でも『AERA』でも立ち読みしながら子どもの様子を横目で見てみてはいかがでしょうか。ただし、おとなが立ち読みだけで済ませるのはさすがに店側に悪いので、なるべく買って帰りましょう。なお、間違っても袋とじをすき間からのぞこうとはしないでください(笑)。

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■CRINMAIL544号

1月29日付CRINMAIL544号より。

英国:子ども兵士に関する国連の計画にストップ〔ニュース〕
国連子ども兵士利用国リストに北アイルランドが記載されたことをめぐって英国が激怒。フランスが提出した子ども保護案の検討を妨害。…… ソース:ロイター 記事全文
武力紛争:戦争兵器としての子ども〔報告〕
ヒューマン・ライツ・ウォッチの報告によれば、子どもが兵士として利用されている現状は依然として変わらず。……詳細はヒューマン・ライツ・ウォッチ子どもの権利部またはこのURLを参照。
イラク:一部病院が病気の培養場に〔ニュース〕
ソース:IRIN 記事全文
ウガンダ:少年刑務所に大改革が必要〔ニュース〕
ソース:AllAfrica 記事全文
ヨーロッパ:ヨーロッパの若者たちが人道援助の課題をめぐって会議〔ニュース〕
ソース:EuropaWorld 記事全文
研究:ミレニアム開発目標をめぐる人権上の懸念〔情報要請〕
ヒューマン・ライツ・インターネットが、ミレニアム開発目標に向けた進展を阻害する人権上の懸念について情報提供を要請中。詳細はヒューマン・ライツ・インターネットのウェブ参照。

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2004.02.02

■サイト開設1周年

そういえば今日はメインサイト開設1周年。アクセスカウンターは午後9時現在で約2万1930件。1日平均60人のかたが訪れてくださったということになります。最初の3か月は1日平均20人ぐらいだったんですが。

もっとも、そのうち600人は土曜の朝からの2日半の来訪者。わがサイトは基本的にお仕事・お勉強のための利用が中心なようで、土日はアクセス件数がガタッと落ちるんですが、この週末ばかりは様子が違いました。子どもの権利委員会の総括所見がキラー・コンテンツになったということですね(笑)。検索キーワードも「子どもの権利条約」と「子どもの権利委員会」がほぼ拮抗しており、報道を見て検索して来てくれたかたも多いようです。これを機に子どもの権利委員会への、そして条約を日本でどう活かしていくかという課題への関心がいっそう高まることを願います。

ちょっと更新履歴代わりにという軽い気持ちで始めたウェブログもけっこうノリノリですし(笑)、これからも子どもの権利マニア向けの情報を提供していきますのでひとつよろしく。

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■都健全育成条例改正について

都健全育成条例改正について、すべりこみで以下のような意見書を都に送りました。答申を読んでいたらますます腹が立ってきて、ちょっと激しい言葉遣いになってしまったかもしれません。あまり時間がなかったので必ずしも充分ではありませんが、それでも答申よりはましでしょう(笑)。

*意見書(メインサイトに掲載):東京都青少年健全育成条例の一部改正について

追記:この問題については他にもいろいろ意見書が出されていますが、北の系2004/「東京都青少年の健全な育成に関する条例の一部改正」についての意見などはいつもながら非常に体系的な内容です。関連資料も充実しているのでご参考までに。

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■更新履歴

国連・子どもの権利委員会が昨日(30日)採択した、日本の第2回締約国報告書に関する総括所見の日本語訳を、1月31日(土)午前9時ごろ(日本時間)、メインサイトに掲載。新しい記事の掲載ではないのですが、いちおう「更新履歴」のカテゴリーでも触れておかなければいけないと思って。

なお、新たにパラグラフごとのブックマークも加えましたので、特定のパラグラフにリンクを張りたいときは以下のURLに続けて「#**」(**は数字)をつけてください。1ケタのパラグラフの場合、「01」のように「0」(ゼロ)をつけて。
http://homepage2.nifty.com/childrights/reports/crc/crc_co_jap2.htm

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2004.02.01

■ココログの困ったこと

1月31日に以下の記事を投稿したら、さっそくその次に投稿した「子どもの権利委員会勧告」と同じ固定リンクに。おかげで、「勧告」へのコメントがこっちの記事についてしまいました。こういうことがないように時間をあけて投稿したのに、困ったものです。再投稿して旧記事を削除。

(以下前回の投稿)
ココログはメールでも更新できて確かに便利なんですが、ときどき困ったこともありま す。

そのひとつは、各投稿の固定リンクがときどきおかしな具合になること。たとえば1月に書いた「成人式騒動」は「CRINMAIL」の見出しの要約と同じ固定リンクになっちゃってますし、このあいだ投稿した「子どもの権利条約in日本」も固定リンクが異常です。

すぐに気づけば古い記事を削除して再投稿すればよいのですが、メールで更新しているとウェブ上ですぐに確認することができません。何日もたってから削除&再投稿とする と日付が変わっちゃうし、固定リンクはあとから編集できないし。月別・カテゴリー別のバックナンバーから記事を見ることはできるのですが、どっちにしろすっきりしません。

あと、メールで投稿したときに「投稿しました。ありがとうございます」という返信が来るのですが、そのときに固定リンクも知らせてくれると便利。まあ始まって2か月のサービスですので暖かく見守ろうとは思っており、サービス改善のために今回の内容も ココログ事務局に送っておきます。

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