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2004.02.12

■各国の青少年対策

今国会で「青少年健全育成基本法」などについて議論される可能性は強いと思いますが、どうも国際的動向に逆行しているのではないかという感が否めません。

たとえばスウェーデン。同国における子どもの権利条約の実施戦略については「子どもの権利条約実施のための総合戦略を起草:日本こそ求められるスウェーデンのとりくみ」という原稿(1999年)で簡単に紹介していますが、これとは別に1999年に「青少年政策」というのが制定されています。政策そのものの英語版は見つかりませんでしたが、スウェーデン教育科学省のウェブサイトにフォローアップ報告書(2001年版2002年版、いずれもPDFファイル)が出ていました。

スウェーデン「青少年政策」のポイントは、公明党デイリーニュース「総合的な青少年政策の策定を――担当大臣を新設して実効挙げよ」(2003年6月7日付)が簡潔にまとめ、「いずれも、若者を大切にし、若者から学ぼうとする成熟した社会の風格を感じさせる」と評価しています。おまけに、同政策の実施を担当するリーナ・ハレングレン青少年問題担当大臣は当時29歳という若さ。プロフィール(PDFファイル)を見てみると確かに1973年生まれなのです。

で、この記事を発見した知り合いから、「スウェーデンの青少年対策は『青少年(およびその環境)の管理・規制』より『子どもの権利の尊重』に重きがおかれているのではないか」という質問が来たのですが、そのとおりだと思います。スウェーデンに限らず、アイルランドやニュージーランドなどでは子どもの権利、とくにその意見表明・参加の保障を基軸とした政策がとられるようになってきました(メインサイト「子どもの権利に関する総合的政策に関する資料」参照)。どちらかというと保守的なイギリスでさえ、子ども・若者参加を省庁横断的に進めようとしています(更新日記「子どもの権利条約inイギリス」参照)。

他方で日本の「青少年育成施策大綱」は、いちおう冒頭で子どもの権利条約にも触れているものの、いかに「規範意識」を身につけさせるかというところに力点が置かれており、青少年の権利保障や意見表明・参加の促進という視点は希薄です。なにしろ「公共への参画の促進」が具体的施策として出てくるのは青年期(18歳以上)になってからの話ですからねえ(PDFファイル21頁)。青少年健全育成基本法案骨子(案)も、申しわけ程度に「国は、青少年の健全な育成に関する施策の策定及び実施に資するため、青少年、保護者その他の国民の意見を国の施策に反映させるため必要な施策を講ずるよう努めるものとすること」と書いていますが、そもそも基本的な発想が国際水準からかけ離れているのでどうしようもありません。

国連・子どもの権利委員会からも、「青少年育成施策大綱において権利基盤型アプローチがとられ、条約のすべての領域が対象とされ、かつ2002年国連子ども特別総会の成果文書『子どもにふさわしい世界』のコミットメントが考慮されることを確保するため、市民社会および若者団体と連携しながら同大綱を強化すること」(パラ13(a))と、実質的に大綱の全面的見直しを勧告されています。青少年施策のあり方を根本的に見直すよう、公明党などにもがんばってほしいものです。

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