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2004.03.24

■携帯電話「三ない運動」

3月19日付毎日メールに、「『子供に携帯必要ない』 鹿児島県PTA連が緊急アピール 」という記事が載っていました。「携帯電話を使った出会い系サイトの性被害や、高額の通話料請求などが多発して」おり、「危険はそこまで迫っている」(武田敏郎会長)として、携帯電話を「所持させない、買い与えない、使わせない」ことを強調していくのだそうです。

いつかどこかで聞いた話。そうです、バイクの「三ない運動」と発想がまったく同じですね。1982年の全国高校PTA連合会(全国高P連)仙台大会で「『免許を取らない』『乗らない』『買わない』の趣旨の徹底」が決議されて以降、全国規模で展開された運動です。

「親は子供の要求に負けない」「乗せてもらわない」を加えた「四プラス一ない運動」などさまざまなバリエーションが生まれましたが、いずれにせよこれによって高校生のバイク事故が減ることはなく、そもそもの目的である「青少年の生命の安全」にはかえって逆効果でした。いまでは交通安全指導の充実こそが必要だという認識がほぼ共有されています。このあたりの事情について詳しくは、阿部俊明・遠藤満雄(著)『三ない運動は教育か:高校生とバイク問題の現在』(ぺりかん社・1994年)、坂本秀夫(著)『バイク退学事件の研究:〔事例分析〕生徒懲戒の乱用を問う』(三一書房・1987年)など参照。

鹿児島県P連は、全国高校PTA連合会が高校生2381人を対象に昨年実施した調査を引いています。それによると、調査対象の高校生のうち87.9%が携帯電話を所持。うち70.9%が1日に5回以上の着信があるとし、11.6%が出会い系サイトにアクセス、8.6%はそこで知り合った相手と通話し、0.5%は実際に会っていたそうです(毎日教育メールの記事より)。
0.5%といえば12人。しかも実際に会ったことで「性被害」が生じたかどうかはわかりません。また、携帯を持っていたことで危険から免れたケースも多々あると推測されますが、そういうプラス面はまったく考慮されていないようです。

鹿児島県P連のホームページを見ると、4月から高校1年生になる子が掲示板に書き込みをしていました。「入学祝い等に携帯電話を買い与えないように」という趣旨のプリントがPTA協議会から配られたが、やっぱり自分は携帯電話がほしい、鹿児島県内の小中高の携帯電話所有実態調査をしていただきたいという趣旨です。読売新聞「ケータイ持ち込み、高校の7割容認…26道府県調査」(3月22日)のURLも引用されています。

9割の人間が持っているものを一方的に禁止しようという発想も、「三ない運動」の失敗からまったく学ぼうとしない姿勢も、子どもの最善の利益からかけ離れているという以上に、そもそもたいへん教育によくありません。鹿児島県P連には方針の撤回を望みますし、間違っても全国展開などされないようにしてほしいものです。

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コメント

5月24~25日九州高P連大会がありました。長崎県高P連の副会長(県健全育成委員長)として出席しましたが、鹿児島に次いで宮崎も今年度から同様の方針を打ち出したそうです。
長崎ではすでに90㌫以上の生徒が保持しバイク同様危険なものはすべて禁止するという発想は時代を逆行するものであり、ルールを決め、正しい使い方を指導すべきと言う意見が大多数です。授業中の使用、テストでメールを利用したカンニング、出会い系サイトへの接続の危険性など不正・危険な使い方をしなければ、子供にとっても大きな利益を与えるものと考えます。全国的にこのような展開することはないと確信しますし、させないつもりです。

投稿: 大島大明(おおしまもとあき) | 2004.06.26 10:43

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