本日(18日)朝、たまたまフジテレビ「報道2001」を見ていたところ、またぞろ「自己責任」論について議論していました。なかなかいいことを言っていたのが、意外なことに榊原英資・慶應義塾大学教授。平沼赳夫・前経済産業相や高村正彦・元外相らが拘束された日本人の行動に渋い顔をするなか、NGOやフリージャーナリストの活動にはきちんと敬意を払わなければならないときちんと指摘していました。
しかし拘束されていた5人を非難する論調は強まるばかりです。小泉首相など、「昼夜24時間態勢でいかに多くの人がとりくんだか。退避勧告を無視して出かけた方によく考えていただきたい」「これだけ多くの政府の人たちが寝食を忘れて努力しているのに、なおかつそういう〔イラクに残りたいという〕ことを言うのか。自覚というものを持ってもらいたい」などと語ったとのこと。
更新日記「イラク邦人人質事件」でも触れましたが、在外邦人の保護のために全力を尽くすのは政府の仕事です。できないことはできないと言う、たとえば救援のために自衛隊が武力行使するのは無理だと明確にしておくことは結構ですが、できるかぎりのことはやってもらわなければいけません。非難するなら、民間人を人質にとるという行為そのものを、ひいてはそういう危険な状況をもたらしている勢力のほうを――大義なき戦争に踏み出したアメリカを筆頭に――非難するべきでしょう。
また、今回の人質解放の大きな要因となった日本の市民への信頼を醸成してきたのは、日本政府などではまったくなく、危険な状況のなかで人道援助にとりくんできたNGOの人々です。室井某とかいう作家は「今回のことでいくらの税金が無駄遣いされたのか」などとコメントしたそうですが、安全確保のためにひきこもってろくに復興支援もできず、かえってイラク国内で反発を煽るばかりの自衛隊を派遣し続けるよりはよっぽどましではありませんか。
このような論調に対し、「『自己責任』論による非政府組織(NGO)、市民団体、ジャーナリスト等の活動への批判に憂慮します」と題する緊急共同声明が準備されています。ちょっと抜粋しておきましょう。