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2004.04.13

■東京都教育ビジョン

東京都「子どもの権利擁護委員会」廃止問題について、山田あきこさんというかたから「まさか日の丸君が代の強制、教育基本法案改悪が目的で子どもの権利条約そのものを削ってるのではないかと疑問に感じざるを得ません」という怒りのコメントをいただきました。

この問題については東京・生活者ネットワーク(会派名・都議会生活者ネットワーク)の都議会議員が早くから問題を指摘し、都議会第16回定例会でも積極的に取り上げてきました。具体的問題点については執印まち子「都は『子どもの権利擁護委員会』存続を!~世界の流れに逆行するな!~」を、質疑の簡潔なまとめはやはり執印まち子議員のウェブサイトを参照(4月11日・15日付活動報告)。東京・東京第一・東京第二の3弁護士会、東京シューレ、子どもの権利条例東京市民フォーラムなども存続を求める要望書を提出しています。

都の予算は3月30日の都議会定例会で確定し、委員会組織は廃止されて「子どもの権利擁護専門相談事業」として再編されることになりました。とりあえず専門委員が合議するしくみは残され、児童福祉審議会の下部機関ともされず、ある程度の独立性は維持されるようです。今後とも動向を注視し、より安定・充実した制度にするためのとりくみを進めていくことが求められます。

とはいえ、東京都が「子どもの権利条約そのものを削ってる」方向にあることは間違いありません。東京都の諸施策で条約がまったく考慮にいれられていないこと、むしろそれに逆行する動きが強化されていることは、ここでも何度か取り上げてきました(文末に関連記事を掲げておきます)。

実際、4月8日に発表された「東京都教育ビジョン」には条約への言及がまったくないばかりか、子どもの権利を守ろうという発想すらありません。「権利」という言葉が用いられているのは、「自由や権利を重視するあまり、責任や義務を軽視する傾向が見られた」という一節のみです(2頁)。とりわけ思春期の子どもたちについては「子どもたちの規範意識や公共心を確かなものとしていく必要があります」として、「国際社会に生きる日本人としての自覚を促す教育」、「長期の奉仕体験や勤労体験等を義務付けること」の検討、警察・学校・地域の連携による非行・犯罪防止教育の徹底(4月14日付毎日教育メール「【安全】警視庁と都教委が非行・被害情報を相互連絡」も参照)、「有害情報から子どもを守るために立法面での対策」など、露骨なまでの管理・統制・圧迫方針が打ち出されています(概要版「方向8」参照)。

最近の毎日教育メールを見ていても、気が滅入ることばかり。とくに日の丸・君が代をめぐっては、児童生徒が思想・良心の自由を集団で行使したら担任を処分するという方針を明らかにしたり(3月19日付「【君が代】生徒が集団で起立・斉唱しないと担任教員処分 都教委」)、都立高校の卒業式が「混乱」したという理由で元教諭の刑事告訴(威力業務妨害)を検討したり(3月三一日付「【君が代】都立高卒業式で大半起立せず 板橋署が事情聴取」)、全都立高校の入学式に都職員を派遣して監視を行なったり(4月9日付「【君が代】都立高入学式で全校に職員派遣し日の丸監視 都教委」)と、弾圧としか表現しようのない対応がとられてきました。こんな品性下劣なやり方で、子どもたちにいったい何を説こうと言うのでしょうか。

最近開かれた東京都教委教育施策連絡会でも、日の丸・君が代の徹底が強調されています(4月14日付毎日教育メール「【君が代】卒業式・入学式での実施指針徹底を強調 東京都教委」)。なかでも鳥海巌委員などは、「企業の改革でも、わずかの少数派はあくまでも反対。これは徹底的につぶさないと禍根が残る。特に半世紀巣食ってきているガンだから、痕跡を残しておくわけにいかない。必ずこれは増殖する」と発言したとか。対話とか寛容とか民主主義の精神を子どもたちに伝える気持ちはまったくないようです。

その他、米長邦雄委員が「最大の課題として『ジェンダーフリー教育のイデオロギー闘争』を挙げ、男女混合名簿の排除を求めた」り、内館牧子委員が「横綱審議委員として大相撲の新弟子教育を見た経験から『今の子供も、たたき込めば分かる』と指摘した」りしています。東京都の教育は、いまの日本社会でも最低レベルの感性と知的水準しか持ち合わせない人々によって統括されているということです。

〔更新日記関連記事〕
*2003年12月29日「都条例改定の動きも憂う
*2004年1月4日「性教育への不当介入に抗議する人権救済申立て
*1月21日「東京都青少年健全育成条例改正
*2月15日「『少子化対策』の下品さ

※更新日記のこの記事は3月13日付になっていますが、実際には15日に書いたものです。

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