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2004.04.19

■ふたたび「自己責任」論について

ニュースで報じられたのでご存知のかたも多いと思いますが、米国のパウエル国務長官は4月15日にワシントンDCでTBS・金平茂紀記者のインタビューに応え、「自己責任」論について次のような発言をしています(平野訳、原文は米国務省ウェブサイトのこちらを参照)。

(引用開始)
金平:近代国家の歴史上、すべての政府には自国の市民を保護する義務があると言われています。日本では、誘拐された人々はみずから進んでリスクを犯したのであって、自分自身の行為に責任をとらなければならないという声が一部にありますが、どうお考えでしょうか。

パウエル長官:そうですね、危険地帯に赴くことによるリスクは誰もが理解しているべきです。しかし、だれもリスクを犯そうとしなければ前進はありえません。世界を前進させることはできません。
 ですから、日本の市民のみなさんがより大きな善のために、より崇高な目的のためにあえてリスクを顧みなかったことは嬉しく思います。日本国民は、進んでこのようなことをする市民がいることをおおいに誇りに思うべきです。また、みなさんがイラクに派遣している兵士についても、彼らが進んでそのリスクを引き受けようとしていることをおおいに誇りに思うべきです。
 けれども、そのリスクゆえに囚われの身になったからといって、「リスクを犯したんだから自分が悪い」と言ってよいということではありません。そうではなく、私たちには依然として彼らを安全に奪還するためにできるかぎりのことをする義務がありますし、彼らに深く思いを馳せる義務があります。彼らは私たちの友人なのです。隣人なのです。同胞市民なのです。
(引用終了)

もちろんパウエル長官は「日本も金を出すだけではなく汗(血)を流せ」という含みをこめて発言しているのであり、手放しで歓迎することはできません。それにしても、解放された5人の行為にどのような意味があったのかを考えることもなくバッシングに終始する政府首脳を見ていると、市民の活動に対する評価がまだまだ日本では低いのだなと痛感します。NGOが政府の言うとおりにしか行動しなくなったら、もはやNGO(非政府組織)ではありません。

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