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2004.04.21

■法務省によるサイバー差別

右手で人権を擁護しようとしながら左手で平気で人権侵害をしているのが法務省です。法務省入国管理局が2月16日から運用を開始した「不法滞在外国人」のメール通報制度もそのひとつ。法務省のウェブサイトに設けた情報受付窓口を通じ、不法入国・不法在留の外国人についての情報を広く寄せてもらおうというものです。Information of Illegalsの頭文字をとって通称「I・メール」と呼ぶそうですから、無神経さにも念が入っています(2月13日付法務省入国管理局プレスリリース「不法滞在者半減に向けた入国管理局の取組について」参照)。

このような監視・密告制度の新設に対しては多くのNGOが一斉に抗議の声をあげました(ブレンダ会のウェブサイト参照)。これらの抗議を受けて法務省は入力フォームを若干修正し、情報受付窓口の案内文にも「不法滞在者と思われる外国人に関する情報を受け付けるものであり、適法に滞在している外国人に対する誹謗(ひぼう)中傷は固くお断りします」という一文を加えたようです。

しかし、不法入国・不法在留かどうかなど一見してわかるはずもありませんし、一般市民がいちいち確認することもできませんから、けっきょくは「こいつ怪しい」という偏見にもとづいて特定の外国人集団が通報の対象とされるのは目に見えています。多くのNGOがメール通報制度そのものの中止を求めるのも当然(「入国管理局メール通報制度の一部変更ではなく中止を求める共同声明」参照)。NGOだけではなく兵庫県知事・神戸市長も中止の要望を法務省に提出しているほどです。5月22日には「ストップ・サイバー・ゼノフォビア~もうはじまっている監視社会~」と題する集会も予定されています。

根強い反対の声にも関わらず国会で批准が承認されてしまったサイバー犯罪条約ですが(衆議院ウェブサイト議案経過情報参照)、2003年には「コンピュータ・システムを通じて行なわれる人種主義的および排外主義的行為の犯罪化に関するサイバー犯罪条約の追加議定書」が採択されています。表現の自由とのからみがありますので日本がこの追加議定書を批准することはいまのところ考えられませんが、いずれにせよ政府機関が率先して人種主義的・排外主義的行為を煽ることは、上述「共同声明」も指摘するように、日本が批准している人種差別撤廃条約に抵触すると言わざるを得ません。

こんなシステムを作るより、刑務所や入管施設での人権侵害を明るみに出すための第三者的監視制度を早急に整備してもらいたいものです。

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コメント

先日、日弁連の人権擁護大会に出会し、法務省による差別の実態について知った。今日、法務省のホームページを見てそれが本当だということが分かった。私は教員ですが、学校では差別を無くすための取り組みを模索している。苦しみながら何とか一歩前進というようなことを毎年繰り返している。その一方で強大な権力に裏付けられた差別の実態がある。むなしくなりますなー。

投稿: 川越 | 2004.10.08 09:12

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