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2004.04.27

■「日本の恥」はどっちか

テレビや新聞でも報じられたように、いくつかの海外メディアでは、イラクで人質となって解放された日本人5人へのバッシングが奇異な現象として報道されています(たとえば共同通信4月24日配信記事「『不可解』な日本? 人質への非難に驚く米社会」参照)。

4月22日付ザ・ロサンジェルス・タイムズ(米、以下「LAタイムズ」)は、「イラクから帰還した日本人人質を迎えたのは英雄扱いではなく敵意」(Japanese Hostages Return From Iraq to Hostility, Not Hero Status)との見出しで、jiko sekininという日本語(英訳はpersonal responsibility)も交えながら、政府首脳の対応や一部メディアによるプライバシー侵害の状況を紹介。西欧諸国では解放された人質がメディアの英雄として大歓迎されることが多いのに対し、「日本人人質がジェシカ・リンチ上等兵のような扱いを受けることはなかった」と書いています。ジェシカ・リンチさん救出報道が米政府によるフレームアップであったことは明らかになっていますし、別に彼らを英雄扱いする必要はないのですが。リンチさんも英雄扱いされることへの違和感を表明しているようです(リック・ブラック著/中谷和男訳『私は英雄じゃない ジェシカ・リンチのイラク戦争』阪急コミュニケーションズ・2004年)。

4月23日付ザ・ニューヨーク・タイムズ(米)の見出しは、「イラクでの囚われの身から解放された日本人、帰国してみればさらなる苦しみに」(Freed From Captivity in Iraq, Japanese Return to More Pain)というもの。こちらは「お上」という日本語(英訳は"what is higher")をキーワードに、バッシングの原因は5人が「お上」の言うことを無視したからだという分析を展開しています。

いずれの記事も共通して指摘しているのは、人質の命が危険にさらされているときにさえ政府首脳による非難が行なわれていたという異常さ。そして、元人質たちの苦しみは帰国してからも軽くなっていない、あるいはいっそう重くなっているということです。「自己責任」論にともなう被害者非難は、浅野健一・同志社大学教授がLAタイムズの記事でコメントしているように、性犯罪被害者に対する非難(blame the victim)と同根。「夜道を歩くな」という立て札を無視して性犯罪にあったら、被害者のほうが悪いというわけです。「オレオレ詐欺」についても相当注意が喚起されていますから、それにも関わらず被害にあったら警察が貴重な税金を使って捜査する必要はないということになるのでしょう。

人質になっていた5人に対して「日本の恥だ」という中傷もあったようですが、世界に恥をさらしているのはどちらでしょうか。

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