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2004.04.07

■子どもの権利条約と「愛情」

更新日記「愛情があれば権利はいらない?」に大河原さんからコメントをいただきました。そこで触れられているフィリピン共和国憲法については、「フィリピン共和国法」というサイトに日英対訳が出ています。全文を一気に見ることができないのでブラウザの文字検索機能も使えず、「愛」という言葉がどこに使われているか、まだ確認していませんが。

子どもの権利条約でも1か所だけ「愛情」という言葉が用いられています。前文第7パラグラフです。

「子どもが、人格の全面的かつ調和のとれた発達のために、家庭環境の下で、幸福、愛情および理解のある雰囲気の中で成長すべきであることを認め、……」

しかしこれは前文ですので、実体規定の解釈指針にはなっても、締約国になんらかの法的義務を生ぜしめるものではありません。このような愛情ある家庭環境をつくりだせるよう、条約に掲げられたさまざまな権利を保障していかなければならないということです。

他方、「霊的」(spiritual)という言葉は、子どもの権利条約でも数か所で、「霊的発達(福祉)」という表現で用いられています。第17条、第23条3項、第27条1項、第32条1項です。日本語訳では「精神的」とされていますが、第27条と第32条では"mental"という言葉も同時に用いられているので悩ましい。国際教育法研究会訳では"mental"を「心理的」と訳し分けていますが、政府訳では2つとも「精神的」というひとつの単語に押しこんでしまったようです。

宗教的・信仰的ニュアンスの色濃い言葉ですが、必ずしも宗教者だけが用いる言葉ではありませんので、なかなか訳しづらいのは確か。文脈によっては「たましい(魂)の」とか「いのちの」などとするのがよいかもしれません。なお、子どものspiritual developmentについて詳しく展開した論文で平野が持っているのは、唯一次のものだけです。これが収録されている本も読み応えのある論文集なので、ご参考までに。

Thompson, R.A., & Randall, B., "A Stndard of Living Adequate for Children's Spiritual Development", Andrews, A.B., et al, eds, Implementing the UN Convention on the Rights of the Child: A Standard of Living Adequate for Development, Praeger Publishers, Conneticut, 1999

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コメント

平野さん、「フィリピン共和国法」をご紹介いただきありがとうございます。そこの第Ⅱ章13項に「霊的な」が、そして第ⅩⅣ章3項(2)に「人類愛」と「霊的な」が出てきます。

投稿: 大河原 | 2004.04.09 18:52

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