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2004.05.13

■青少年健全育成基本法案

ご承知のとおり、3月24日付で青少年健全育成基本法案(議員立法)が参議院に提出されました(参議院ウェブサイト議案審議情報参照)。正式な法案はなぜか衆議院のウェブサイトにのみ掲載されています。なお、メインサイトで骨子を紹介している「青少年を取り巻く有害社会環境の適正化のための事業者等による自主規制に関する法律案」は、今国会には提出されていない模様。

これに対し、日本弁護士連合会(日弁連)は5月8日付で「『青少年健全育成基本法案』に対する意見書~子どもの成長発達権保障の観点で修正を求める~」を発表しました。法案は「あたかも子どもの成長発達権よりも、国家社会の発展を優先するかのような内容となっている」と正しく指摘し、基本的な部分での修正を求めるとともに、昨年12月に策定された「青少年育成施策大綱」(PDFファイル)についても新たな理念にもとづく作り直しを要求しています。

日弁連は政治的・現実的配慮からか「修正」要求に留まっていますが、国連・子どもの権利委員会の勧告解説も参照)など頭から無視し、国際的動向にも逆行した内容であって(更新日記「各国の青少年対策」参照)本来は廃案がふさわしいと言えるでしょう。国連子ども特別総会成果文書「子どもにふさわしい世界」も、そのタイトルが示すように子どもよりもむしろ社会のほうを変えるよう求めており、おとなの理想像に子どもをはめこもうとする「健全育成」とはまったく異なる視点からの施策を要求しています。

子どもに関してなんらかの基本法を作るのであれば、それはやはり「子どもの権利基本法」であるべきでしょう。基本法を作るか、それとも関連の法律を体系的に見直して子どもの権利の理念と原則を徹底させるようにするか、そのどちらがいいかは議論がありますが、いずれにせよ、「条約の原則および規定ならびにそこに掲げられた権利基盤型アプローチとの全面的一致を確保するためにあらゆる必要な措置をとる」(国連・子どもの権利委員会第2回総括所見パラ11)が必要です。

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