■CRC:リベリア報告審査
CRINMAIL575号でも取り上げられているように、アムネスティ・インターナショナルは5月17日、リベリアの子ども兵士の状況について報告書を発表するとともに、国連・子どもの権利委員会による報告書審査でこの問題に焦点が当てられることへの期待を表明していました。
その報告審査ですが、先ほど(25日午後6時)終了したばかりです。リベリア暫定政府からは、ジェンダー・開発省、司法省、保健・社会福祉省から3人の大臣が参加する異例なほど高級レベルの代表団が出席。子どもの権利に対するコミットメントを示すとともに、国際社会にいっそうの援助を求めました。
委員会も、通常のように報告ガイドラインで定められたクラスター順に審査を進めるのではなく、「武装解除・動員解除・リハビリテーション・再統合」(DDRR)プロセスおよび関連した問題から取り上げるという異例の手順で対応(追記:総括所見=PDF=も同じ)。午前中の議論(3時間)はほとんどこの問題に費やされました。
委員会がこのような対応をとったのは、平野が記憶するかぎり、「実施に関する一般的措置」のあとにいきなり「特別な保護措置」をとりあげたミャンマー(ビルマ)の第1回報告書審査(第14会期、1997年)以来のことです。そのミャンマーの第2回報告書審査が明日(26日)に控えていますが、さてどのような審査になることやら。
リベリアに話を戻すと、子ども兵士の武装解除・動員解除まではなんとかすることができてもリハビリテーション・再統合がなかなか充分に進まないことをはじめ、依然として問題は山積していることが明らかにされました。しかし政府代表団はとにかく強いコミットメントを示していましたので、総括所見でも国際社会による援助の必要性が強調されることになるでしょう。
子ども兵士のうちとくに女子への援助に焦点を当てた質問も出されていましたが、充分な議論にならなかったのは残念でした。また、人道に対する犯罪を行なった者(子ども兵士を含む)への司法的対応をどうするかについても話が出ましたが、まずは真実・和解委員会の設置が先行しているようで、明確な方針は定められていないようです。人道に対する犯罪や戦争犯罪を行なった子ども兵士をどうするかについてはいろいろ議論があり、国際刑事裁判所の管轄からは外れましたが、シエラレオネ特別法廷では15歳以上であれば司法手続の対象になるなど、対応が分かれています。
なお、エルサルバドル(第2回)、パナマ(同)、ルワンダ(同)、サントメプリンシペについてはすでに審査が終了しました。毎回報告するのも大変なので、審査内容に関心のある方は国連人権高等弁務官事務所のプレスリリースを参照してください。
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