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2004.06.17

■自治体人権憲章

先日「滋賀県も子ども条例へ」という動きがあることを取り上げましたが、子どもの権利にかぎらず、人権保障のために自治体が役割を果たさなければならないという認識は国際的にも広がりつつあり、ヨーロッパでは2000年に「都市における人権保障のためのヨーロッパ憲章」(英文、PDF)も採択されています。21か国の235都市から構成される「ヨーロッパ人権都市会議」が作成した、全28条プラス最終条項・追加条項からなる文書です。

子どもとの関連では、第10条(私的生活および家族生活の保護)で子どもの援助のためのサービス(2項)、家庭における暴力の防止(4項)、子ども・若者の保護および教育(5項)、「子どもが幸福な子ども時代を享受できるような適切な条件づくり」(6項)についての規定が置かれているほか、教育に対する権利(第13条)、言語的マイノリティに属する子どもの母語学習権(第3条2項)、環境教育の奨励(第18条4項)、余暇のための空間の保障(第21条2項)、契約にさいして子どもの搾取を拒否する条項を置く自治体の義務(第14条3項)などが定められています。

日本でも名称に「人権」を冠した条例が370件近く制定されていますが((財)人権教育啓発推進センター「人権関係条例等及び人権関係審議会等に関する調査」2003年参照)、ヨーロッパ憲章のように、世界人権宣言やヨーロッパ人権条約のような国際的・地域的文書に立脚し、ある程度総合的な内容を持っているものははたしてどのぐらいあるか。同憲章の日本語訳(平野訳)は『部落解放研究』157号(2004年4月号)に掲載されていますので、各自治体でのとりくみに活かしていただければ幸いです。ちなみに、翻訳にあたっては英語版フランス語版(いずれもPDF)を参照したのですが、2つのテキストにけっこう実質的な相違があって当惑しました。おおらかと言うか、いいかげんと言うか(笑)。

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