■CRC勧告と少年非行対策
はてなダイアリー「kitanoのアレ」は表現規制や「健全」育成問題についてじつに有用な情報源で、平野も左のマイリストに加えましたが、そこに国会でリャド・ガイドライン(少年非行の防止に関する国連指針)が取り上げられたという情報が載っていました(6月10日のエントリー)。6月3日の衆議院・青少年問題特別委員会での出来事です。
そこに抜粋も載っていますのでご覧いただければと思いますが、水島広子議員(民主党)の質問に対し、小野清子青少年育成担当大臣は、「このガイドラインの理念というのは、少年の保護、健全育成という我が国の少年司法と相通ずるものであると考えられておりますので、今後、〔国連・子どもの権利委員会〕の最終見解やこのガイドラインの内容を、よく趣旨を精査いたしまして対応を検討してまいりたい」、「つかさつかさの者と検討しながら、もちろん、私も全力を尽くしてまいりたいと思っております」などと答弁しました。
さらに、水島議員の前に質問に立った石毛えい子議員(民主党)が、国連・子どもの権利委員会の勧告内容と青少年育成施策大綱(PDF)の少年非行対策は「基本的に相違している」として小野大臣の見解を質したときも、「今後とも、その内容や趣旨、あるいはそういうものをよく精査いたしまして、児童の権利条約の趣旨を踏まえまして、少年の権利の擁護と立ち直りの支援、こういったものを念頭に置きながら対応を検討してまいりたい」と答弁しています。
どこまでわかっているのかなという気もしないではありませんが、とりあえずリャド・ガイドラインや委員会の勧告を念頭に置きつつ対応していくと明言した点は評価できますし、今後のフォローアップにも活かしていけるのではないでしょうか。まずはリャド・ガイドラインの政府訳を公にしてもらい、少年司法・教育・児童福祉関係者に広く配布してもらうことが必要ですね。
その他、水島議員は委員会の勧告との関連で婚外子差別や子どもオンブズマンの問題も取り上げていますので、会議録をご参照ください。「日本で子どもの権利条約の遂行状況を監視していく一番の主体は小野大臣ということでよろしいんでしょうか」という水島議員の質問に対して小野大臣が「結構でございます」と答えるなど、興味深いやりとりもあります。
末尾ながら、「何か事が起こると、やれ少年法の改正だ、教育基本法の改正だというような、そういう単発的なテーマに飛びつきまして、それをやってしまうと、後はまたもうしらっと忘れたような顔をしている、そのような一貫性のなさが現状をつくってきているのではないかと思っております」、「日本の政治は、こうした一貫した努力を怠って、何か事が起こると少年法改正、教育基本法改正という単発のテーマに気まぐれに飛びついて、大騒ぎをして終わってしまう。そういうことを繰り返した罪というのは極めて重いと思っております」という水島議員の指摘にもまったく同感。
同じことは出会い系サイト規正法や児童買春・児童ポルノ法などについても言えるのであって、民主党マニフェスト見直しへの意見でも述べたような総合的対応をぜひ望みたいものです。
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