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2004.06.28

■参院選マニフェスト:公明党

公明党のマニフェストは、2003年衆院選時の100項目に参院選向けの追加項目を加えた123項目。衆院選の「マニフェスト100」では第2章「『安心・はつらつ社会』の構築」に子ども関連施策がまとめられており、「子育てを安心してできる体制を確立」と「地域・家庭連携による学校サポート体制で安心して学べる教育」、言い換えれば子育て支援と教育改革が柱となっています。とはいえ、個別政策にはとりたてて目新しい点はありません。

参院選の「追加マニフェスト23」でも子育て支援がひきつづき重視されていますが、「発達障害者支援法」の制定をはじめ障害者(児)支援が盛りこまれたのは新しい点でしょうか。もっともそこでは特別支援の提供が基調となっており、民主党のように統合教育を目指すという方向性が打ち出されているわけではありません。他方、主要5政党が児童福祉施設の子どもの状況にまったくと言っていいほど配慮を見せないなか、「施設退所後の社会生活が困難な子どもの自立支援を行う『自立援助ホーム』を全都道府県に整備します」という方針を打ち出しているのは評価できます。

追加マニフェストの目玉は、なんといっても「子どもの安全」確保でしょうか。追加マニフェストの重点項目として「地域の安全と子どもの生命を守ります」という項目を立てているほか、別途「子どもたちの生命を守る安全プラン」も策定しています。学校・通学路における安全確保、防犯性の高い地域環境づくり、児童虐待の防止などがその柱で、親や子どもの不安に応えて党の独自性を打ち出すことには成功していると言えるでしょう。

しかし、これらの施策も基本的に対症療法の域を出るものではなく、総合的視点を欠いています。第一に、子どもの安全を脅かすものは犯罪だけではありません。子どもの主要な死因は依然として「事故」です。にも関わらず、「安全プラン」ではわずかに遊具の安全確保や学校施設の耐震化が挙げられているのみで、交通事故・学校事故の防止、保育施設等の基準向上および劣悪な施設の規制といった視点はほとんど見られません。最近、日本教育法学会の学校事故問題研究特別委員会が「学校安全法要項案」を発表しましたが(毎日教育メール6月3日付「教育法学会が『学校安全法』要綱案を発表」など参照)、これなども参考にしながら必要な法的整備を進める必要があります。

第二に、子どもがさらされている暴力は児童虐待だけではありません。子どもの安全・生命を守るというのであれば、児童虐待だけではなく、学校・施設における体罰やいじめ、セクシュアル・ハラスメント、性的搾取・虐待も視野に入れるべきでしょう。また、上述した「自立援助ホーム」以外にも、カリヨン子どもの家のような思春期の子ども向けのシェルターについても整備の方針を打ち出してほしいものです。

第三に、第二の点とも関連しますが、子ども自身のエンパワーメントという視点も充分ではありません。「子どもたちが自分自身の身を守ることができるようにするための知識修得と訓練の場として『防犯教室』を推進する」という施策が打ち出されていますが、もっと幅広く、犯罪よりももっと身近な暴力から身を守るためのスキルも身につけられるようにすることが必要です。

なお、「地域の安全と子どもの生命を守ります」という項目では、自民党と同様に「不法滞在外国人」の半減が打ち出されています。これが的外れな対策であることは、自民党についてのコメントでも触れたとおり。それどころか、外国人に対する差別や偏見を煽り、外国人の子どもがますます暮らしにくくなることも予想されます。

公明党の議員には子どもの権利のことをよく勉強している人が多く、自民党の暴走に歯止めをかけるうえでも一定の役割を期待しているのですが、いっそう総合的・国際的視野に立って子どもの最善の利益を追求してほしいものです。

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