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2004.06.29

■参院選マニフェスト:民主党

民主党は、マニフェスト「自由で公正な社会を実現するための民主党8つの約束」の6番目で、「国の役割を縮小し、地域に『教育力』を取り戻す」ことを掲げています。その柱は、(1)学校教育の立て直し(少人数学級の実施、学校長の公募・民間人登用、総合学習・個別学習の推進、教育機会の選択の拡大など)、(2)開かれた学校経営の促進、(3)奨学金制度の充実、(4)国の役割の縮小・特化の4つ。(2)や(4)などの施策の方向性は間違っていないと思いますが、その効果的実現のためには子ども、家庭およびコミュニティのエンパワーメントが不可欠です。シティズンシップの育成をはじめとしてそのための具体的方策が用意されないかぎり、これらの施策の統一的実現はむずかしいのではないでしょうか。

マニフェスト政策各論では、「10.子どもが健やかに育つ社会」として、(1)「一人ひとりに目が行き届き、親の不安が解消される教育」の実現、(2)保育・学童保育の拡充、(3)子ども手当(児童手当)の拡充、(4)無利子奨学金の貸与額引上げ、(5)児童虐待防止のための児童福祉司の倍増、(6)有害情報からの保護(メディアリテラシーの育成を含む)、(7)「子ども家庭省」の設置の7項目が挙げられています。子ども参加については言及せず、基本的には「保護の対象」としての子ども観を貫いているあたり、まだまだ権利基盤型アプローチからは遠いようです。

民主党政策集:私たちのめざす社会」を読むと個別政策に関するさらに詳しい見解がわかりますが、基調は変わりません。「子どもの持つ『生命・生存・発達の権利』を明確にし、学校でも家庭でもどこにいても、子どもが伸び伸びと育つことができる環境づくりをめざして、『子ども政策』をまとめて」いくそうですが、そのさいには、「子どものために」のみならず「子どもとともに」世界を変えていくという決意を表明して子ども・青少年をパートナーの筆頭に位置づけた国連子ども特別総会成果文書「子どもにふさわしい世界」も踏まえながら、権利基盤型アプローチに立った総合的政策づくりに努めてもらいたいものです。18歳選挙権を実現しようというのは結構ですが、18歳になってとつぜん参加の権利を保障すればよいというものではありません。

外国人政策については、難民認定行政を法務省から切り離して内閣府外局に「難民認定委員会」の設置を目指すなどぜひ実現してほしい提案もあり、治安回復の文脈でしか外国人のことに触れない与党よりはよほどましです。しかし、外国人差別の禁止をはじめ、外国人の子どもの教育や社会統合の問題にも、やはりもっときちんと触れてほしいもの。沖縄政策との関連で「沖縄人(ウチナンチュー)としての自立心を育」む教育やアメラジアンの教育環境整備について触れているのは評価できますが、マイノリティの教育権保障についてはもっと考えてもらわなければいけないようです。

障害児については、障害者差別禁止の理念を盛りこんだ障害者基本法改正(2004年)に留まらず、具体的な差別の禁止も規定する「障がい者差別禁止法」の制定を打ち出しています。また、「統合保育・統合教育に取り組み、障がいを持つ子どもと持たない子どもとの分離を前提とした教育を見直します」として、統合教育の推進を強く打ち出している点も評価してよいでしょう。

全体的には悪くないマニフェストですが、5月の意見聴取の会で提言した内容(更新日記5月15日付「民主党マニフェスト見直しへの意見」参照)は総じて充分に反映されませんでした。野党第1党としての役割は大きいですし、こちらからきちんと働きかければわかってくれる議員も多いのでひきつづき期待をかけたいとは思いますが、さらなるとりくみが望まれます。

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