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2004.06.30

■参院選マニフェスト:共産党

共産党のマニフェストでは、「12.競争と管理の教育から、子どもの発達と成長を中心にすえた教育に」「13.安心して子どもを生み育てられる社会に――少子化社会を克服する努力を」「13.社会のモラルの危機の克服――子どもたちを守り、子どもたちの声に耳をかたむける社会をつくる」という3つの柱で子ども施策が打ち出されています。

子どもの権利条約に加え、国連・子どもの権利委員会の勧告の実施の推進にも触れているのは、主要5政党のなかでは共産党のみ。「学校運営への父母、子ども、教職員、住民の参加をすすめる」、「子どもの声が尊重され、社会に参加する権利を保障する」など、子ども参加も重視しているようです。もちろん大切なのは参加の内実なのですが。

しかし、条約や委員会の勧告を重視する一方、障害児の教育については「特別支援教育」重視で、統合教育の方向性は打ち出されていません(委員会の勧告パラ44参照)。また、外国籍やマイノリティの子どもの教育についてまったく触れられていないのも気になるところです。他方、子どもによる芸術鑑賞の促進、アニメ等のコンテンツ政策の支援、スポーツのあり方の見直しなどにも目配りしている点は、党としての独自性をうまく打ち出せていると言えるでしょう(「14.学術・文化・スポーツの自由で豊かな発展のために学術、科学・技術の多面的な発展をはかる」)。

どうしてもひっかかるのは、子どもをとりまくさまざまな問題を「社会のモラルの危機」として位置づけている点です。これに対して「民主的社会にふさわしい市民道徳の基準の確立」や「子どもを守るという社会のルールを各分野で確立する」ことなどを打ち出しているのですが、少なくとも子ども関連の施策を見るかぎり、そこに「人権」の文字はありません。もちろん人権教育などは提唱されておらず、教育政策でも「人のいのちを大切にするなどの市民道徳の形成」が重視されています。

資本主義の申し子である人権概念には依拠できないということなのかもしれませんが、これでは国連・子どもの権利委員会から勧告された「権利基盤型アプローチ」の実践は不可能。「社会のモラル」に依拠するのではなく、子どもの具体的権利がどの程度保障/侵害されているかというところから出発するのが条約実施の基本的要件です。条約や委員会の勧告にまったく触れないよりははるかにましですが、けっきょくは都合のいいところをつまみ食いをしているという印象がぬぐえません。

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