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2004.07.21

■修復的司法:国際的視点

*Burt Galaway & Joe Hudson (eds), Restorative Justice: International Perspectives, Criminal Justice Press (New York) & Kugler Publications (Amsterdam), 1996

修復的司法の理論(第1部)、先住民族コミュニティでの実践(第2部)、実践上の問題(第3部)、具体的適用例(第4部)についてさまざまな論者が論じた1冊。修復的司法の可能性と問題点を幅広く考えることができ、なかなか参考になります。

本書でも、『犯罪・恥の感覚・再統合』と同様、日本が修復的司法の具体的適用例の筆頭に挙げられていました(John O Haley, 'Crime Prevention Through Restorative Justice: Lessons from Japan')。確かに、被告人弁護士が被害者との和解を追求し、和解が成立すればそれが判決で考慮されるというのは、ある意味で修復的司法の一面を先取りしていると言えるかもしれません。

ミネソタ州でのとりくみを報告した論文(Kay Pranis, 'A State Initiative Toward Restorative Justice: The Minnesota Experience')も、ほとんどの刑事司法制度には、たとえ全体としては応報主義的であっても何らかの修復主義的要素が含まれていると指摘しています。しかし、どのぐらい修復主義的実践が行なわれているかは次の7つの要素によって判断されるとしており(496-497頁)、これに照らせば日本の水準はまだまだと言えるのではないでしょうか。

(1)被害者が利用可能なサービス
(2)被害者が参加・意見表明するための機会
(3)罪を犯した者が責任をとるための機会およびそうすることの奨励
(4)罪を犯した者による被害修復への参加
(5)罪を犯した者の能力を高める努力
(6)コミュニティの構成員による、意思決定および実施への積極的参加
(7)コミュニティの構成員間でつながりを築き上げるプロセスの活用

他方、「修復的司法が第一義的に目指すのは被害者、罪を犯した者およびコミュニティのエンパワーメントである」という前提(Paul McCold, 'Restorative Justice and the Role of Community', 97頁)に立てば、「修復的司法が体現している変化は、力を基盤とした構造・実践から関係を基盤とした構造・実践へという、諸社会制度で進んでいるよりいっそう大きな変化の一部である」というPranis論文の指摘にもうなずけます(497-498頁)。こうした変化は、社会福祉の世界でも(欠損モデルから能力構築モデルへ)、企業運営の世界でも(恐怖と力にもとづいた動機づけから関係と機会にもとづく動機づけへ)、法律の世界でも(裁判外紛争解決の活用の拡大)生じているものです。大事なことは、やはり、これまでもっともディスエンパワーされてきた被害者のエンパワーメントをどのように図るかということになるでしょう。

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