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2004.07.13

■移民の密入国議定書

国際組織犯罪条約の補足議定書といえば「人、とくに女性および子どもの取引を防止し、抑止しおよび処罰するための議定書」(PDF)ばかりが話題になりますが、「陸路、海路および空路により移民を密入国させることの防止に関する議定書」(PDF)にも日本は署名しています。こちらは主に出入国管理秩序の維持が目的とされていますので人権コミュニティで関心が薄いのもしかたありませんが、いちおう密入国関連行為の「対象となった者」(「被害者」という言葉は注意深く避けられています)の保護・援助についても規定されているのです(第16条)。

この補足議定書を批准するとすれば、生命に対する権利および拷問等から保護される権利の保障規定(1項)にもとづき、入管施設の監視強化等も必要となるでしょう。また、密入国関連行為の「対象という理由によって個人又は集団から加えられる暴力からの適当な保護」を与える義務(2項)や、同様の理由によって「その生命又は安全が危険にさらされている移民に適当な援助を与える」義務(3項)も定められています。そのさいには、女性および子どもの特別なニーズも考慮しなければなりません(4項)。

このような観点に立てば、「不法滞在者」を犯罪予備軍としてのみとらえて差別・偏見を煽る与党(更新日記「参院選マニフェスト・自民党」「同:公明党」参照)や法務省の対応はあらためて厳しく批判される必要があるでしょう。

ちなみに、上記のような措置(および人身売買被害者の保護のための措置)は補足議定書を批准しなくても必要とされていることにも注意しなければなりません。つまり、こうした措置をとるために補足議定書を批准しなければならないということには必ずしもならないのであって、国際組織犯罪条約およびその補足議定書の批准が本当に必要かどうかは、また別に慎重な検討が必要です。

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