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2004.07.19

■東南アジア友好協力条約加入

ASEAN(東南アジア諸国連合)の基本条約である「東南アジアにおける友好協力条約」に、日本も7月2日付で加入しました(外務省のプレスリリースも参照)。

同条約の第2条は、締約国間の基本原則として次の6つを挙げています。
(a)すべての国の独立、主権、平等、領土保全及び主体性の相互尊重
(b)すべての国が外部から干渉され、転覆され又は強制されることなく国家として存在する権利
(c)相互の国内問題への不干渉
(d)意見の相違又は紛争の平和的手段による解決
(e)武力による威嚇又は武力の行使の放棄
(f)締約国間の効果的な協力

これらの原則は国連憲章をはじめとする国際法でも確立されているものです。他方、この条約では、前文で国連憲章への言及が見られるとはいえ、その重要な理念の一部である人権や男女平等の促進にはまったく言及されていません。人権侵害が「国内問題」に留まらないことは国際的にも合意されているはずですが、「アジア的人権」の主張との兼ね合いでどういう話になるのか、やや気になるところです。

もっとも、前文で触れられているバンドン10原則では「基本的人権と国連憲章の趣旨と原則を尊重する」ことが筆頭に挙げられていますし(アジアの声のウェブサイト内「日本の東南アジア友好協力条約(TAC)加盟」参照)、昨年12月の日・ASEAN特別首脳会議で採択された「東京宣言」(PDF)でも、「法の支配及び正義の尊重」や「国連憲章、世界人権宣言、世界人権会議ウィーン宣言及び行動計画に基づく全ての人々の人権及び基本的自由の擁護及び促進」がうたわれていますので、いちおうは安心してよいのかもしれません。

条約第4条では、「経済、社会、文化、技術及び行政の分野」における協力ならびに「地域における国際の平和及び安定についての共通の理想及び願望に関する事項その他共通の関心事項」に関する協力を促進することが定められています。また、第9条では「地域における平和、調和及び安定を一層促進するため」の協力が、第7条では「社会正義を実現し及び地域の人々の生活水準を向上させるため」の経済協力が、それぞれ促されています。これらの協力において子ども最優先の原則が重視されなければならないことは、ASEANのすべての国が子どもの権利条約の締約国である以上、論をまちません。

南アジアの地域機関であるSAARS(南アジア地域協力連合)では、2002年に「買春を目的とした女性および子どもの不正取引の防止および撲滅に関する条約」と「南アジアにおける子どもの福祉の促進のための地域協力体制に関する条約」(いずれもPDF)が採択されました(とくに前者について拙稿「南アジアで女性と子どもの人身売買に関する地域条約が誕生」参照)。このような条約をただちにASEANでも作らなければならないというわけではありませんが、東南アジア友好協力条約を出発点として、子どもの性的搾取や人身売買に効果的に対応するための地域協力が進められていくことを希望します。

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