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2004.07.01

■参院選マニフェスト:社民党

社民党のマニフェストである「社民党の政策 9つの約束」では、与党や共産党とは対照的に、「人権」が大きな柱のひとつに位置づけられています。子どもや女性は言うに及ばず、被差別部落、アイヌ民族、日本に在住する外国人および外国人労働者、高齢者、性的マイノリティ、障害者、患者・感染者、犯罪被害者、被疑者・受刑者など人権侵害を受けやすい人々の人権保障の確立を打ち出している点は、高く評価できるでしょう。ただしそのための政策がいささか具体性を欠くのは弱いところです。

子どもの権利についても、「子どもの人権を確立するために、子どもの権利条約に基づく成長および福祉のための理念が具体化する施策を推進します。子どもの権利条約が遵守されるよう政府を監視します」と簡単に述べられるのみ。教育に関する施策は別途用意されていますし、「男女平等」の項目でも子どもに対するあらゆる暴力の解消や子育て支援が打ち出されていますが、総合性を欠くことは否めません。条約について「成長および福祉のための理念」という理解しか示せていないのも、まだまだ旧来の子ども観に立っていることをうかがわせます。教育施策で「子どもの声を取り入れた」「子どもと大人の共同作業」としての民主的教育改革が打ち出されているとはいえ、ここでも子ども参加について触れておくべきでした。

しかし、「21世紀、世界の子どもの憲法といわれる『子どもの権利条約』を中心に、日本国憲法・教育基本法を、あらゆる教育の場に根づかせ、具現化していきます」という決意表明から始まる教育政策は、なかなか力がこもっています。教育予算GDP(国内総生産)5%水準の達成をはじめ、そこで打ち出されているさまざまな施策もなかなか具体的です。

とりわけ特徴的なのは、教育を通じ、「与えられた『公』に奉仕するのではなく、一人ひとりのつながりの中で見出される『公共性』」を築き上げていこうとしていること。「戦争は人の心の中に生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない」と述べたユネスコ憲章を引用し、「教育と平和は最大の安全保障である」という理念を打ち出して、人権・平和教育、障害を持つ子と持たない子の「共生教育」、「ジェンダーフリーの学校」づくり、友達づくり(ピアサポート)の場や地域社会の「きずな」としての学校の位置づけの促進などを目指しています。こうした姿勢は、戦争へとひた走りつつあるかのように見えるいまの日本にあって、ひとつのオルタナティブを提示しうるかもしれません。

他方で、いまの子どもたちが直面している多くの問題について充分に触れられていないきらいもあります。これらの問題は、教育条件・内容が改善されれば解決されるというものではありません。いちおう「24時間子どもサポートシステム」の確立は提唱されていますが、体罰やいじめやセクシュアル・ハラスメント等を解消して学校を「ピアサポート=友達づくり」の場にするための具体的施策(たとえばスクールソーシャルワーカーの導入)、さらには不登校の子どもの権利保障など、子どもたちが現在抱えている悩みに応えうる施策も具体的に打ち出してほしかったと感じます。

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