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2004.07.28

■内部告発者保護法

先の国会で公益通報者保護法が成立しました。条文はむやみに読みにくいので内閣府作成の概要(PDF)のほうがわかりやすいでしょう(ちなみに行政機関はなんでもPDFにするのをやめるべきです)。また、内部告発者(ホイッスルブロワー)保護制度の実現を進める市民ネットワーク図解(PDF)もたいへんわかりやすいものになっています。

いろいろと限界がある法律のようで、はたして「ないよりはまし」と言い切れるのかどうかも現段階では判断を保留しますが、いずれにせよ運用を通じて改善を図っていってもらいたいものです。少なくとも教師の体罰やセクシュアル・ハラスメントは刑法違反として本法の対象となりますので、積極的な通報が行なわれることを望みます。

今後の改善点としてはまず、日弁連の意見書をはじめ多くの人が指摘しているように、保護の対象となる通報を別表に掲げた法令(刑法、食品衛生法、証券取引法、JAS法、大気汚染防止法、廃棄物処理法、個人情報保護法、その他政令で定める法律)違反に関するものに限るのではなく、範囲を広げるべきでしょう。子どもたちの「健全育成」にしゃかりきになる議員たちが対象法令に公職選挙法も含めないというのでは、話になりません。

もうひとつ、保護の対象が「労働者」に限られているというのも問題です。そもそも刑事訴訟法第239条1項では「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる」と定められているわけですから、それに対応する保護規定はすべての人を対象として設けるべきではないでしょうか。

さらに、公益通報は単に保護するだけではなく義務づける必要もあるのではないかとさえ思います。刑事訴訟法第239条2項では公務員の犯罪告発義務が定められていますし、児童虐待防止法でも特定職業従事者の早期発見努力義務(第5条)や発見者の通告義務(第6条)が定められているわけですからね。いずれも罰則なしですが、公務員がとくに重大な通報懈怠を行なった場合については罰則を設けてもいいかもしれません。

そういう意味で、今回の法律を公益通報者「保護」法に留まらせるのではなく、公益通報「促進」法に脱皮させていく必要があると思います。法務省が奨励している「不法滞在者」密告(更新日記「法務省によるサイバー差別」「法務省へのサイバー・シットイン」参照)などより、こういう法律を整備するほうがよほど重要です。

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