■少年司法と子どもの権利条約
国連・子どもの権利委員会は会期ごとに報告書を作成していますが(メインサイト「会期別審査国一覧」参照)、それとは別に、条約第44条5項の規定にもとづいて2年ごとに国連総会に報告書を提出しています。
そこにそのときどきのテーマで委員会の一般的所見が書かれるようになったのですが、国連総会第59会期に提出された報告書(Report of the Committee on the Rights of the Child, General Assembly Official Records: Fifty-ninth session Supplement No.41, A/59/41)では少年司法の問題が取り上げられていました(パラ15~20)。特別手続の設置をはじめとする成果(パラ17)が(a)~(f)の7個だけなのに対し、課題および懸念領域(パラ18)は(a)~(s)の19個。「条約で予定されている予防的な措置よりも抑圧的(repressive)な措置を優先させる国がいまなお多い」という指摘は、日本にもそのまま当てはまります。
ちなみに前回の報告書では「実施に関する一般的措置」が取り上げられ、これについてはその後一般的意見5号が採択されました。少年司法の問題についても、そのうち一般的意見が採択される可能性は大きいと思われます。もともと委員会は刑事責任年齢についての一般的意見の作成にとりくんだことがあり、一度は第一次草案も準備されたのですが、内容的に不充分であったため仕切り直しとなりました。
なお、少年司法に関わる国際文書については国連ウィーン事務所(著)/平野裕二(訳)『少年司法における子どもの権利:国際基準および模範的慣行へのガイド 』(現代人文社、2001年)も出ているので、ご参照ください。
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