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2004.08.13

■「子どもへの暴力」国際研究

CRINMAIL564号などで紹介されているとおり、国連では国連事務総長に委嘱により「子どもへの暴力」に関する国際研究が進められています。国連・子どもの権利委員会が開催した2回の一般的討議(「子どもに対する国家の暴力」2000年・「家庭および学校における子どもへの暴力」2001年)の勧告を受けたもの。

その進捗状況等は子どもの人権連の機関誌92号(2004年7月号)掲載「国連で進む『子どもへの暴力』国際研究」でやや詳しく報告したほか、子どもの権利条約ネットワークのニュースレター75号(8月末刊)でも簡単に紹介していますのでご参照ください。

コンセプト・ペーパー(ワード)をはじめとする関連文書は国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)の関連ページから入手することができます。なおOHCHRの新しいウェブサイトにも関連ページが設けられているのですが、まだ建設中のようでデッドリンクが多いため古いページを参照したほうが無難です(きちんと整備してから新しいサイトに移行してほしいものです)。

来年の国連人権委員会に提出される予定の最終報告書でどのような勧告が行なわれるのかにも注目する必要がありますが、国連レベルで新しい宣言や制度がつくられる見込みは薄いというのが正直なところ(子どもの権利条約の選択議定書で個人通報制度が設けられる可能性はなきにしもあらず)。

むしろ、この研究をきっかけとして子どもへの暴力に関する総合的対応が進むという触媒効果に期待したいところです。ユニセフやWHO(世界保健機関)といった国際機関もこの問題に関するとりくみを強化しつつありますし、国際NGOもかなり活発な議論と支援を行なっています(子どもの権利条約のためのNGOグループ・子どもと暴力に関するサブグループのページ参照)。

各国政府に送付されたアンケート(ワード)をもとに市民・NGOレベルでの検証を進めるというのも、今回の調査を有効に活かすひとつの方法です。日本でも子どもへの暴力に対する関心は高いほうだと思いますが、いじめ、体罰、虐待、性暴力、メディアでの暴力表現といった具合に、関心ととりくみがあまりにも細分化されていてホリスティックな視点が薄いのが弱点ではと感じています。

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