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2005.05.03

■生活安全条例とは何か

*「生活安全条例」研究会(編)『生活安全条例とは何か:監視社会の先にあるもの』現代人文社・2005年

「治安悪化」の不安につけこみ、警察主導であちこちに作られつつある「生活安全条例」(たとえば「安全・安心のまちづくり条例」など)の問題点をさまざまな論者が指摘したコンパクトな(125頁)1冊。奈良県「子どもを犯罪の被害から守る条例(案)」もその類で、これについてコメントしたことと共通する部分が多いのであまり詳しく触れませんが、新屋達之氏の次の指摘はやはり引用しておく価値があるでしょう。

「『生活安全条例』は、警察が他の行政や地域社会に積極的に介入することが望ましいという考え方を前提とするものです。これでは、警察本来の職務である犯罪の捜査や具体的事件の予防に悪影響を及ぼすことになります。また、市民の立場から求められるべき真の『安全』が権力者の都合による『安全』にすりかえられる危険を孕むものであり……、あるいは市民間の話し合いの場を破壊し、一方的な問題解決を強制するものでもあります。/こう考えると、『生活安全条例』はかえってわたくしたちの生活の安全を脅かす存在とさえいえるでしょう」(51頁)

もうひとつ気になっているのは、防犯パトロールのあり方です。かつて小宮信夫(著)『NPOによるセミフォーマルな犯罪統制:ボランティア・コミュニティ・コモンズ』(立花書房・2001年)についてのコメントでガーディアンエンジェルズへの違和感を表明したことがありますが、警察官についてはまがりなりにも職務質問の基準が定められるなどいちおうの説明責任が課されているのに対し、防犯パトロールについてはそれがないことです。本書でも、防犯パトロールの弊害のひとつに人が容易に「不審者」扱いされることが挙げられています(35~36頁)。これが差別につながりやすいことは、奈良県の条例についてのコメントでも指摘したとおりです。

ともあれ、「安全・安心は大事だ」ともろ手を挙げて賛成する前に、一歩立ちどまって読んでほしい本です。

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