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2006.06.27

■30代未婚男

*大久保幸夫・畑谷圭子・大宮冬洋(著)『30代未婚男』NHK出版(生活人新書185)・2006年

本書でいう「30代未婚男」とは「一度も法律上の結婚を経験していない30~39歳の男性」(4頁)を指しており、事実婚しか経験していない平野も該当します。本書で槍玉にあげられている「30代未婚男」の当事者としては、困った本だとしか言いようがありません。男性の未婚化が進む理由についての分析にはそれなりの妥当性もあるかもしれませんが(もっとも西野坂学園時報「醜悪なるおやぢイズムの檻にはまる大久保幸夫」を読むとやはり的外れな指摘が多いようです)、けっきょくはライフスタイルの多様化に対するバックラッシュの役割を担っていると言うことができます。森昭雄(著)『ゲーム脳の恐怖』(2002年、コメントはこちら)といい、NHK出版の生活人新書は「トンデモ本」の宝庫だという評価も高まりつつあるようですが、さもありなん。

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2006.06.18

■子どもの権利と体罰

国連・子どもの権利委員会の一般的意見8号(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利)の日本語訳掲載。「子どもに対する国家の暴力」(2000年)と「家庭および学校における子どもへの暴力」(2001年)に関する一般的討議の勧告を踏まえつつ、「子どもに対する暴力」についての国連事務総長研究が今年の秋にも完了するのをにらんで採択されたもの。委員会としては今後、子どもに対する暴力についての一連の一般的意見を採択していく意向のようです。

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2006.06.08

■司法運営における人権

「最近読んだ本」のコーナーもずいぶん更新していませんが、平野が訳した大作が出版されたので、そのぐらいは紹介しておきましょう。

*国連人権高等弁務官事務所(著)/平野裕二(訳)『裁判官・検察官・弁護士のための国連人権マニュアル:司法運営における人権』現代人文社(発行)・大学図書(発売)・2006年

国連人権高等弁務官事務所の Professional Training Series No.9. Human Rights in the Administration of Justice: A Manual on Human Rights for Judges, Prosecutors and Lawyers の全訳です。ヒューライツ大阪の依頼を受けて、英文(A4版)で880頁、日本語版(A5版)で1280頁という大作を1年がかりで翻訳しました。司法運営のさまざまな場面でどのような人権が保障されなければならないか、国際的・地域的人権監視機関の見解を豊富に紹介しながら詳細に論じられています。

「刊行の辞」と日本語目次は、ヒューライツ大阪ウェブサイトの予約受付のページを参照。どんな内容か、英文で現物を見てみたいというかたは、国連人権高等弁務官事務所ウェブサイトの人権研修教材のページからPDFファイルをダウンロードすることができます。個人で買うには高すぎる本かもしれませんが、法曹関係者や法曹を志す人たちには、図書館で借りてでも一読してほしいと思います。

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2006.06.06

■逐条解説 児童の権利条約

*波多野里望(著)『逐条解説 児童の権利条約〔改訂版〕』有斐閣・2005年

旧版(1994年)の改訂版ですが、ひどい内容です。買うまでもあるまいと思って、たまたま図書館にあったのを借りて正解でした。いろいろ問題はありますが、ここでは(a)国際的動向を踏まえない恣意的な解釈と、(b)国連・子どもの権利委員会の総括所見(1998年2004年)への得手勝手なコメントという2つの視点に絞ってコメントしておきます。

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