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2006.10.10

■国連研究「子どもに対する暴力」最終勧告

国連・子どもの権利委員会の要請をきっかけとして「子どもに対する暴力」についての国連事務総長研究が進められてきたことはかねてからお伝えしているとおりですが、その最終報告書がようやくまとめられ、10月11日(ニューヨーク時間)に国連総会第3委員会でパウロ・セルジオ・ピネイロ氏によるプレゼンテーションが行なわれます。プレゼンに先立ち、勧告を含む「結論」部分の抄訳を掲載。

追記(10月21日):報告書全体の概要については(財)日本ユニセフ協会のプレスリリース「国連 初の『子どもに対する暴力 調査報告書』を発表」がよくまとまっています。

勧告の内容についてはいずれどこかでコメントしたいと思いますが、当面の焦点は、子どもに対する暴力に関する国連事務総長特別代表の任命(勧告パラ120~123)を国連総会が認めるかどうかというところでしょう。子どもと武力紛争の問題についてはすでに特別代表が任命され、大きな成果を挙げています。

他方、1993年の「女性に対する暴力の撤廃に関する宣言」のような新たな国際文書の起草は求められませんでした。拷問等禁止条約や子どもの権利条約のような拘束力のある文書で詳細な規定が置かれている以上、必要ないとの判断でしょう。妥当な結論だと思います。「子どもに対する暴力」についての子どもの権利条約の選択議定書を求める声も一部にありますが、子どもの売買・子ども買春・子どもポルノグラフィーに関する選択議定書についてさえ、「基準の引き上げにつながらない、実施措置を詳細に定めるだけの選択議定書はそもそも不要だった」という声がいまだに根強いなかでは、実現可能性は薄いと思います。

ともあれ、子どもの権利条約の締約国は、条約にもとづく定期報告書のなかで今回の勧告の実施状況についても情報提供をするよう求められています。日本は今回の研究過程で行なわれたアンケートに回答(英語、PDF)を寄せており、そのこと自体は評価できるにしても、回答内容は満足のいくものではありません。今回の勧告を誠実に受けとめ、国際的な説明責任を果たしていくことが求められます。

なお、ついでに国連・子どもの権利委員会の一般的意見8号(体罰その他の残虐なまたは品位を傷つける形態の罰から保護される子どもの権利)の日本語訳も、正式な国連文書にもとづいて若干修正しました。パラグラフの変更など大幅な修正はありませんが、子どもの最善の利益の原則について「3条2項」と誤った記載をしていた箇所が、「3条4項」とさらに誤った記載に修正されています(パラ26)。3条は3項までしかありません。もうちょっと注意してほしいものです。

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